くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ポセイドン」

ポセイドン

ロナルド・ニーム監督が描いたパニック映画の秀作にのぞんだヴォルフガング・ペーターゼン監督。
「トロイ」でも見せたのだが、このペーターゼン監督、この手の大作の作り方は非常に上手い。多分、今活躍しているハリウッドの監督の中でも五本の指にはいるのではないかと思います

物語はオリジナル版をほとんど踏襲していますが、名だたる評論家たちが「人間ドラマが全く描けていない」という酷評とはいえ、私は結構楽しめました。

オリジナル版が人間ドラマも盛り込んだ重厚な作り方で、単なるパニック映画に終わらせなかったところは立派ですが、今回のリメイク版は映像のテンポでストーリーを進めていくという作り方をしていて、これはこれで見事なものだと思いました。映画がリズムを持っているのです。

冒頭の俯瞰でポセイドン号を舐めるように撮っていくカメラワーク。転覆するシーンで船内が阿鼻叫喚となるところで、細かいカットのつなぎと、素早いカメラのパンで緊張感を作り出すところも素晴らしかった。

そして、なんといってもこの映画の見所のワンシーンは、今までの映画には絶対なかったシーン、リチャード・ドレイファスがエレベーター抗で、足下のいたがはずれて宙刷りになるシーン、足首には案内役でついてきた若者がしがみつきます。このままでは二人とも落ちるのでリチャード・ドレイファスが振り落とすシーン。今までならたいてい、この若者が力つきてやむなく落ちていくパターンなのですが、このシーンはちょっと・・・と思いますね
でも、このシーンにつづくエレベーターの落下、リチャード・ドレイファスの引き上げ、爆発のシーンのカットつなぎは見事。うなってしまいました。

さて、オリジナル版での主人公、というかリーダー役は名優ジーン・ハックマンの神父。でもさすがにこの人の個性を一人で引き受けるのは無理と感じたのか、カート・ラッセルジョシュ・ルーカスが二人で引き受けます。これが良かったのか悪かったのかどっちつかずになっている点は否めませんね。しかもカート・ラッセルのかつての仕事が消防士なんて笑ってしまいました(バックドラフトから来たのですか?)

とにかく、徹底的に脱出シーンに的を絞った作りになっていて、その意味では薄っぺらな作品になっていますが、見所の作り方やテンポの速いストーリー展開で飽きさせずにラストシーンまで行きますね。それはそれで良いんではないでしょうか?私はそれほどつまらないと思いませんでした。十分満足でしたよ