くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「デッドプール2」「50回目のファーストキス」「別れの詩」

kurawan2018-06-06

デッドプール2
前作が期待ほど面白くなかったのですが、今回はそれなりにばかノリが楽しい作品に仕上がっていました。とは言っても今時、この程度の下品な会話の連続とグロテスクな殺しのシーンはそれほど珍しくもないのですが、アメリカ人には受けるのでしょうね。世界レベルでは普通かと思います。監督はデビッド・リーチ。

所構わず悪人を倒しながら、下品な行動を繰り返すヒーローデッドプールの活躍から映画が幕を開ける。その後のタイトルバックのシーンはまさに007ばりの流麗さというノリが笑えます。

恋人ヴァネッサのもとに帰ってきたウェイドだがそこにやってきた悪人を返り討ちした際に流れ弾でヴァネッサが死んでしまう。悲嘆にくれるウェイドは自ら爆死しようとするが当然死ねない。この場面も本気かノリかわからないところがいい。

そんな時、ミュータントの共同生活施設で暴れるラッセルを懲らしめるべく出動したデッドプールは、ラッセルらとともに超人を無力化する装置をつけられ、収容されてしまう。

そこへ、未来で家族をラッセルという超人に殺されたケーブルとい傭兵がタイムトラベルして過去のラッセルを倒そうとやってくる。

デッドプールラッセルを守るために、ケーブルと戦い、なんとか収容施設を脱出する。そしてxフォースというチームを作るが、なんともドタバタで悪ノリだらけ。

デッドプールは将来殺人マシーンになるラッセルを更生させようとケーブルを説得、ミュータント施設の理事長に復讐しよと迫るラッセルと戦いながら、見事に心を入れ替えさせる。

まぁ、物語がやや甘っちょろいものの、xメンをパロディにしたり茶化したりした映像を挟みながらの悪ノリのラストがなかなかの出来栄え。

少しは毛色の違う作品になっているとはいえ大筋ではマーベルコミックを出ることはない。そこがシリーズの弱さですね。


50回目のファーストキス
映画の完成度はイマイチですが、大好きな福田雄一監督のノリが散りばめられていてとにかく楽しくて仕方なかった。キャストも福田ファミリーだし、根幹に走る切ない話へ持っていこうとするのにふざけてしまうノリがたまりませんでした。

次々と女性が旅行で出会った男の話をしているシーンから始まり、最後にその話題の男が、誰もが弓削大輔の名前を唱えて映画が始まる。このオープニングの中にも小ネタが満載され、2004年のオリジナル作品とは明らかに空気感が違う。

ハワイで天体観測をし、ワシントンの研究施設に招聘されることを目標に、日々ツアーガイドをして暮らす弓削大輔は、いつも朝食を食べに行くカフェで一人の女性瑠衣と出会う。最初はナンパ目的だったものの、なぜか一眼で惹かれてしまう。

ところが翌朝も彼女に声をかけると、昨日とは打って変わった態度を取られる。カフェの経営者から、彼女は1日しか記憶が残せない病気だと知らされる。最初は戸惑った大輔だが、瑠衣の父親や弟が必死で彼女に尽くしている姿に、どんどん彼女にのめり込んで行く。そしてある日、ふとしたことで、周りの嘘がバレ彼女は真実を知ってしまう。

大輔は、何か手立てはないかと、DVDを作り、毎朝目覚めた時に瑠衣が見るようにして記憶を呼び起こす方法を考える。こうして大輔と瑠衣は毎日新しい出会いをするようになる。

DVDの効果もあり徐々に二人の関係は深まり、毎日キスを交わすようになるが、ある時、思わず一夜を過ごしてしまい、パニックになった瑠衣は逃げ出してしまう。その日、大輔と瑠衣の父らが話をしているのを瑠衣が聞き、大輔の夢の妨げになると別れを切り出し、彼女がつけている日記から大輔を抹消、写真も全て削除する。間も無くして大輔に研究所から招聘のメールが届く。

出発の日、一旦は飛行機に乗った大輔だが、思い直し、瑠衣が自ら入った病院に駆けつける。大輔を見た瑠衣は、毎晩夢に出てくる一人の青年があなただと告げ、自分の部屋に案内する。そこには大輔の絵がいっぱいだった。

時が経つ。ベッドで目覚めた瑠衣にあのDVDが流れる。そしてその中で大輔に言われるままに屋上に出て見ると天体望遠鏡と満点の星空、そして二人の間にできた子供が待っていた。こうして映画が終わります。

かなり雑な脚本で、核になる話が時々ぶれていますが、散りばめられた福田雄一ワールドは十分楽しめました。この作品はこれでいいかなという感じです。


「されどわれらが日々より 別れの詩」
映画全体の出来栄えは普通ですが、脚本がしっかりしているので、最後まで見応えのある物語に仕上がっていました。監督は森谷司郎

主人公の康子がタイプライターを打っている場面から映画が始まる。彼女には誠実なフィアンセ伸夫がいて、この秋に結婚式をあげる予定になっている。伸夫がアメリカに出張で留守の時に、康子の学生時代の恋人安倍が自殺したという新聞記事を見つけ、青春時代の時間に想いを馳せる。

康子の同僚の京子は妻子のある男性と不倫関係にあり、京子と話す中で、愛について、結婚に隠された真実などを考え始める。そして、間も無くして京子は不倫関係を解消、会社を辞めて田舎に帰ってしまう。

アメリカから帰ってきた伸夫と久しぶりに体を合わせた後、康子は安倍のことや京子の話をする。それに答えるように伸夫も学生時代の恋人の話などをする。その帰り道、康子は交通事故にあい、大怪我をする。

入院の間に京子がやってきて、郷里で見合い結婚をしたと告げる。そしてその相手は伸夫の学生時代の友人だと話す。やがて退院した康子は久し振りに伸夫と愛を交わすが、翌朝、別れの手紙を置いて伸夫の元を去る。

愛すること、結婚の意味、恋愛、男と女の真実などを何度もなんども描写する展開はややくどさもあるが、一方で、今見ても何かを考えさせられてしまう奥の深さもある。

中井朝一のカメラもしっかりしていて、役者もなかなかの演技を見せ、映画全体はしっかりとした出来栄えになっています。時代色が全くないとは言いませんが、まだまだ色褪せない作品だと思います。