本広克行監督の「UDON」をみる。
なんせ、「踊る大捜査線」シリーズ以外の本広克行監督は本当にのびのびと映画を撮っているように思えて、私はファンなのです。
物語は二部構成になっています。前半部はうどんを情報源にしたタウン雑誌が大ヒットし、讃岐うどんのブームにわき上がる主人公に実家の姿。そして、この展開の中で小西真奈美やユースケ・サンタマリア、などの主要な登場人物たちが巧妙に物語の中で紹介されます。
そして後半、ブームが去った実家の松井製麺所が父の死によって廃業間近になるところから、小日向文世が後を継ぐまでのいきさつと前半で登場した主立った登場人物たちの行く末が松井製麺所の復活と友に語られていく。
全体に本広克行監督独特の感性があふれていて、本当に楽しめる。しかし一方で「サマータイムマシンブルース」で見せたような凝縮された作品に仕上がっていない。どこか大作である。どこか長尺過ぎて散漫になる場面もないとは言えない。
秀逸なシーンは小西真奈美が深夜仕事の原稿を書いているときに現れるキャプテンUDONの場面。こうしたシーンはまさに本広克行でないと浮かんでこないシーンである。それもさりげなく挿入されさりげなく消える。このほんのちょっとしたシーンが最高に楽しい。
一方ユースケ・サンタマリアの夢の中にも大ヒーローキャプテンUDONがまるで特撮ヒーローのように大活躍するシーンが現れる。しかもつづく・・で終わるところが心憎い。
セリフのすべてが大阪的なつっこみの連続で、特に前半部分は徹底的に関西弁が生きている。
後半に入って、鈴木京香(私はこの人が大嫌いである)がくそまじめに語り出してから、この映画のテンポが狂い始める。ほとんどのキャストが成功なのに彼女だけが完全にミスキャストである。しかし、そんなミスも覆い尽くすように物語は大団円を迎える。
さっきも書いたが大作になりすぎたのは最大の失敗ではないでしょうか。でも本当に楽しめました