まだ学生時代にテレビの洋画劇場でしかみていなかった娯楽超大作、今更説明するまでもない名作である。覚えているのはクライマックス、砲台に取り付けたおとりの爆弾が発見された後で、もう一つが爆発するという仕掛けだけだったが、前半部分にあれほど見せ場の連続だったかと今更ながらうなってしまった。
出だしで、それぞれのプロフェッショナルが集められる場面に始まり、やがて現地へ向かい作戦期限の6日間が少しづつ迫ってくる中、次々とドイツ軍に攻撃を受けたりピンチになる場面がこれでもかと言うほどに様々な展開で描かれてくる。
目的地の島へたどり着く直前の嵐の場面、やっと岩場に上陸したと思いきや巨大な波がとどめを刺すように迫ってくる。そして、120メートルの断崖を上るスリリングなシーンに続いて、ドイツ軍との攻防線、裏切り、大佐の負傷など、ハラハラドキドキを映像にしたらこうなるのだと言わんばかりのてんこ盛りのエンターテインメントなのである。
主人公たちはプロとはいえ、所詮、徴兵された軍人たちで、ことあるごとに殺戮にためらいが生じたりする人間的な演出もきっちりと押さえている。そして、せりふの端々にそれぞれの人物の性格を描きながら、物語は刻一刻とクライマックスへ近づく。
これこそ大画面でみるのにふさわしいエンターテインメント超大作であり、もちろん、セットを多用した特撮シーンになるのはこの時代仕方ないのであるが、なぜか、現代のCG満載のリアルなシーンより迫力があるというのは、いかにかつての職人監督たち、本物の映画監督たちが並外れた手腕を発揮していたのかを証明するものである。
演じる俳優もそれぞれに貫禄十分に画面いっぱいに所狭しと闊歩する。グレゴリー・ペック、アンソニークィン、アンソニー・クエイル、イレーネ・パパス、書いていたら切りがない。さらにドイツ軍の装備のリアリティある迫力も特筆される。次々と登場する戦車、軍隊の迫力、そしてクライマックスの砲台のセットのすばらしさ。目を奪われるエンターテインメントの固まりなのである。今では決して描けなくなった本物の娯楽超大作がここにあった