大嫌いなローランド・エメリッヒ監督作品である。
とはいえ、レイ・ハリーハウゼンの名作「恐竜100万年」のリメイクでもあり、宣伝フィルムでもそれなりの面白さを期待していたので、見に行くことになった。
前作「デイ・アフター・トゥモロー」で、ローランド・エメリッヒ監督の苦手分野だった人間ドラマを若干見せてくれたので、「インデペンデンスデイ」の散漫そのものの映像とはちょっと進歩したかなとも思っていたこともありわずかながらの期待もあったのです。
今回の「紀元前1万年」は、その点でなかなかしっかりとドラマが描かれていました。もちろん、ローランド・エメリッヒ監督お得意の壮大な映像表現は変わりませんが、今回はニュージーランドをはじめとする見事な景色をロケーションすることで、画面に広がりと奥行きが出たように思います。
その結果、いつものようにCG頼みの薄っぺらな画面にならずに自然の力を借りたこれこそ映画というシーンの連続につながりました。
もちろん、例によって、マンモスシーンや群集シーン、クライマックスの神殿のシーンなどに派手なCGが多用されていますが、カメラワークを大胆にとって、歴史大作としての壮大さであるかのような描き方を取り入れ、CGにおぼれた内容になっていないのは成功ですね。
しかも、展開が非常に丁寧で、所々に出てくる人間の心の交流シーンもそれなりにしっかりと演出されているため、最後まで飽きずに見られます。その上、美しい大自然が所狭しと迫ってくるのですからそれだけでも見ごたえ十分。
ローランド・エメリッヒ監督作品では一番いいできばえだったのではないでしょうか