押井守監督が描く、近未来の世界。
どれくらい先かわからない近未来、かつてのような戦争は絶えたものの、企業が、ビジネスとしての戦争ゲームが合法的に行われています。
戦士となるのはキルドレと呼ばれる永遠の青少年達。彼らは遺伝子の操作により永遠の命と永遠の子供の体を持ち、戦闘で死ぬ以外に命が終わることがありません。
メカニックな部分は徹底的にリアルで立体表現を駆使し、人間などの生き物は昔ながらの二次元の画面で描くこの作品、完全に芸術アニメです。
光を効果的に多用した独特の押井守監督の映像世界、さらに殺伐としたストーリー展開。登場人物が区別できそうでできないキャラクターデザイン。そして、あまりにも独創的で美しすぎる空中戦のシーン。
すべての意味が最後の最後、エンディングのあとのエピローグのシーンを見て私たちは理解します。
物語に抑揚もないし、静かすぎるほどに平坦に進むために、はっきりいって、しんどいです。しかし、それぞれのシーンがさすがにジャパニメーションの真骨頂ともいうべき美しすぎる構図で描かれ、しかも、クライマックスの空中戦シーンは、その想像力の非凡さを見せつけてくれるほど見事で息をのんでしまうので、それだけでもこの映画を見た満足感でいっぱいになります。
物語の終演はあまりにもむなしく、あまりにも寂しいですが、日本でしか作れない東洋的な世界観が思い切り前面に押し出され、ため息がでてしまうこと間違いなしです。
アニメとはこれだということを、CGアニメにうつつをぬかすハリウッドメジャーも自覚していただきたいと思います。