くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「インクレディブル・ハルク」

インクレディブル・ハルク

地元では吹き替え版しか上映していなかったので、なんとか字幕版を見ようと今日まで引き延ばしたが、とうとう、時間もなくなってきたので、仕方なく吹き替え版を見る。

それほど期待はしていなかった作品ですが、これがまたすごくおもしろかった。
数年前に公開されたアン・リー監督版はちょっと散漫で、かつオリジナルの娯楽性を排除した格調高い作品にしたために中途半端であったので、やや物足りなかった。しかし今回の映画化版は完全に娯楽エンターテインメントとして完成されています。

冒頭、主人公ブルースがいかにしてハルクになるに至ったかをタイトルバックを利用してハイテンポで紹介し、物語の導入シーンをすべて終わらせてしまい、本編が始まれば即、物語の本筋へ入っているという作りは見事。

そもそも、この手のヒーロー映画は誰もが、知っている上に、その成り立ちまである程度の知識があるので、それを再度CGなどを使って再現していると2時間ほどの物語の中では肝心の物語をほんのさわりしか描けない。それをあえて大胆にタイトルバックに集約し、物語の娯楽性をぎっしりと詰め込んだ映画に仕上げたのは大成功である。

しかも、細かいカットの積み重ねを多用し、スピーディな展開を心がけてお話が進んでいくので、見ていて何とも小気味良い。
主人公達の心理描写にあまり時間を注がず、徹底的に見せ場に徹する。この割り切りが、前作アン・リー版での失敗を見事に克服。

単純な物語りながら、次から次と進んでいくので、観客はすっかりこのハルクの世界に引き込まれてしまう。
ラストはおきまりの怪物バトルであるものの、クライマックスからエンディングに緻密な伏線を入り込ませ、平凡な終わり方にしなかったスタッフの丁寧な作品づくりに拍手したい。

先日の「ダーク・ナイト」といい、娯楽映画の秀作2本に巡り会えました。

とはいえ、アメリカの怪物はどうしてああも醜いのでしょうかね。日本のサンダやガイラの方がまだまだ親しみが沸くのですがね。