くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「劇場版MOZU」「ミケランジェロ・プロジェクト」

kurawan2015-11-11

「劇場版MOZU」
テレビドラマ版の主要キャストをそのまま生かして、テレビドラマ版のテロ事件ともう一軒別に起こったテロ事件を発端に展開するサスペンスアクション。
監督はテレビ版同様羽住英一郎である。

テレビ版の物語をほとんど覚えていないのですが、劇場版は似ていて似ていない別の物語に近い気がします。2時間近くあるのですが、それ以上に長く感じるのは、エピソードが羅列されて次々と細かく展開するためでしょう。全編見せ場の連続という感じで、飽きることはないのですが、ストーリーの行き先がすっきりと見えないのが、ちょっと残念。

ただ、テレビ版でも特異のキャラクターだった主要キャストが、そのまま生かされているし、テレビ版を見ていなくてもある程度はわかる内容になっている。

とはいえ、冷静に思い起こしてみると、雑な作劇になっていないと言えなくもない。ダルマが生き残るために臓器を手に入れる子供達を抱えていると言う事の真相に行き着くまで、結局、主人公の倉木が追い求める謎への回答が完全にぼやけていくのだ。連続ドラマならそれぞれの謎を追いかけながら来週の展開を楽しみにすればいいのだが、映画では、この作り方はしんどい。結局、やたら長く感じてしまった。まぁ、つまらなかったわけではないので、これはこれで満足と言えるかもしれませんが、そういう映画でした。。


ミケランジェロ・プロジェクト」
第二次大戦中、ナチスに略奪された美術品の数々を、取り戻し、保護するために、アメリカのルーズベルト大統領は「モニュメンツ・メン」というのを組織し、ヨーロッパに派遣する。その史実を描いた作品。監督はジョージ・クルーニーである。

懐かしいアメリカ映画の様相で、軽いタッチのコミカルなシーンを散りばめながら、下手をすると、シリアスな戦争サスペンスになるところを、軽快な娯楽映画に仕上げている。そのムード作りが、ちょっとノスタルジーさえ覚える一本でした。

映画は、主人公のフランクが、美術の専門家を集めて、ヨーロッパに赴くという導入部にいきなり入っていきます。人集めの場面はあたかも「七人の侍」の如しです。

ストーリーの根幹を、教会の教壇画とマリア像の発見に置いて、ストーリーが散漫にならない様にし、軽い展開と、軽快なリズムの音楽、そして懐かしい口笛の入ったメロディで描いていく。

途中、仲間が死ぬ場面もあるのだが、全体を覆った空気が、かえって、胸に迫る感動に変わり、クライマックスの聖母像発見から脱出への下りを心地よく流す。

戦争アクションではないので、ハラハラドキドキのサスペンスフルな語り口を避けたのが、この作品の面白いところで、あくまで、史実を伝えるということを娯楽作品として仕上げたジョージ・クルーニーのスタイルが好感な一本でした。