ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソン主演の歴史物語「ブーリン家の姉妹」
1969年ジュヌビーブ・ビジョルド主演で映画化された「1000日のアン」でも描かれ、イングランドの偉大なる女王エリザベス一世の母アン、そしてその妹メアリー(歴史上は姉がメアリー妹がアンです)の波乱の物語を描いた意欲作です
とにかく、見応え十分という言葉がぴったしの素晴らしい映画でした。
歴史の事実を部分的に改編し、物語に見せ場を作った原作が良いのか悪いのかはともかく、映画作品としてみるには見事なできばえでした。
冒頭、幼い二人の少女が小麦畑でしょうか、黄金色の草原で遊ぶ姿を優しく映画いていきます。
しかしその陰で、娘達を使って一家の栄華を得ようとする叔父、父の姿が陰のように映し出されます。(もちろんこのような史実は存在しませんが)
さて、一気に物語の本筋に引き込んでいく下りはここからです。
娘達は年頃になり、一方で世継ぎが生まれない王妃に悩む国王の姿が映し出され、ブーリン家の親族を含めた人たちは自分たちの栄誉のため、王がさがす愛人探しに娘を差し出す謀略を考え始めるのです。(もちろんこのような史実は存在せず、宮廷に上がったアンにヘンリー王が一目ぼれしたのが事実のようですが)
もう、ここからはスカーレット・ヨハンソンとナタリー・ポートマンの素晴らしい演技力が物語をぐいぐいと引っ張っていきます。
まるでサスペンス映画を見ているかのようなテンポのよい展開。
長女アンを愛人にと画策していたところ、王は妹のメアリーに惹かれ、そのまま愛人に。そのことがきっかけで姉妹の愛憎が吹き出してしまい、姉妹の運命は劇的な物語になっていくのです。
フランスへ追放された姉のアンがフランス王妃のもとで見違えるように才覚を現し、メアリーと家族の危機に、再びイングランドに呼び寄せられる下りは、まさにサスペンスの世界ですね
特に、めだった映像表現を駆使しているわけでもありませんが、じっと見据えたようなカメラアングルは登場人物達の心の中まで凝視するような緊迫感を与え、微妙に悩み苦しむ姉妹の心の動きと王の姿、そして、女と男という人間の根元に潜む悲しさがじわりじわりと伝わってくるのです。
まったく、ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンのすばらしさに圧倒される秀作でした