くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「プラネタリウム」「サーミの血」

kurawan2017-09-25

プラネタリウム
お話の中心が見えない作品で、誰を追いかけていかないといけないのか全くわからないままにラストシーンを迎えた。ナタリー・ポートマンを目当てだけの映画鑑賞という感じでした。監督はレベッカ・ズロトブスキという人です。

1943年、列車の中、ローラという女性がエヴァという女性と久しぶりの再会をしたという場面で映画が始まる。そして数年前、霊能力のある妹ケイトと姉のローラは大勢の人々の前で降霊会を開いていた。その様子を一人の男コルベンが見ている。彼は映画プロデューサーで、最近会社の運営も厳しい様子である。

彼は二人を自宅に呼び、個人的な降霊会を開く。そこで、姉妹の降霊会の才能を目の当たりにし、彼女たちを映画にすることを思いつく。

しかし、撮影が始まると、映画映えのするローラに比べ、やや暗いイメージのケイトは敬遠され、やがてローラのみが映画の世界に入っていく。

二人はコルベンの家に住むことになるが、ローラは撮影で外出がちで、コルベンはケイトと二人で降霊会を開き、その不思議な瞬間をフィルムに収めようとする。

物語は映画の撮影の中で、様々な体験をするローラと、コルベンとケイトの奇妙な関係の展開、さらに霊現象をフィルムに収めようとするコルベンの姿、さらに会社の経営で追い詰められる姿など様々なシークエンスが組み入れられ交錯していく。

結局それぞれの誰が主演かわからない状況の中、ケイトは白血病を患う。ローラは撮影現場でエヴァという女性と知り合うが、そのエピソードもほんの僅かで消えてしまう。

コルベンが悪夢に苦しみ、さらに執拗に降霊会を開いて呼び寄せてもらうものが誰か最後までわからない。

やがて、コルベンは逮捕され、ケイトは死んでしまい、ローラは列車の中で懐かしいエヴァに再会して映画はエンディング。どっちつかずというか、物語の中心がぼやけているというか、よくわからない作品でした。


サーミの血」
ここまでしっかりと訴えたい主題がぶれずに映画を作ったという信念だけでもすごい。物語はシンプルにもかかわらず、どのシーンからもラップ人に対する不要な差別意識が描かれている。確かに重い映画ですが、生真面目に作り込んだという意味で傑作とも呼べるかもそれません。監督はアマンダ・シェーネル。

一人の老婆、この物語の主人公であるエレ・マリャが息子に連れられ故郷の地に帰って来た。妹の葬儀に来たのだが、執拗にその出席を拒むエレ・マリャ。そして物語は彼女の少女時代1930年代へへ移る。

スウェーデン北部に住むサーミ人という先住民は地元の人々から蔑まれ、執拗な差別扱いを受けていた。そこの寄宿学校に通うエレ・マリャは、成績が優秀にもかかわらず、極端な差別を受け、人間扱いもされない。彼女に目をかける女教師さえも、進学の相談に行き推薦状を頼んでも、そもそも無理だからという信じられない理由で書くことを拒まれる。

様々なシーンにサーミ人への差別扱いをが散りばめられ、それにじっと耐えるエレ・マリャは、ある時、洗濯物で干してある服を盗んで、近くのダンスパーティに忍び込む。そこで、クリスティンと名乗り、一人の若者ニコライと知り合い、口づけをする。

しかし、すぐに連れ戻され元の生活に戻されたエレ・マリャは、この地を出ることを決意し、電車に飛び乗り、婦人の服を盗んで、ニコライの住む街へ向かう。そしてニコライが留守のところ、両親に無理を言って泊めてもらい、その夜、帰って来たニコライと体を交えるが、サーミ人と知る両親から出ていくように促され、追い出される。

たまたま忍び込んだ学校の図書館で、なぜか見つかって、学校へ入ったものの授業料がなく、頼る人のいないクリスティンは再びニコライの家へ。そこで、ニコライの友人たちが誕生パーティを開いていて、そこで、サーミ人の放牧の歌を歌わされる。その後、ニコライにお金を借りたいと申し出るも、結局見放され、クリスティンは仕方なく故郷へ帰り母親にすがる。

一旦は断った母だが、父の形見の銀のベルトを彼女に預ける。そして物語は現代へ。クリスティンは一人教会に行き、妹の棺を開け、妹にそっと頬を寄せ、これまで放っていたことを詫びて暗転エンディング。

現代のクリスティンがホテルで食事しながら同じ泊まり客として話をする中に、サーミ人ラップ人)はどうのという差別的な会話が挿入される。現代もなお、かつての差別意識は薄れていない現実を見せるカットがうまい。

淡々とひたすら耐えて必死で抜け出そうとしているエレ・マリャの少女時代の物語が語られるものの、現代のカットを巧みに挿入して、常に蔑まれて来たサーミ人の姿を訴えかけてくる映像作りが実に見事です。なかなかの一本でした。