くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」

ダイアリー・オブ・ザ・デッド

ジョージ・A・ロメロ監督が久しぶりに放ったゾンビ映画
なんと今流行の一人称カメラによるドキュメンタリータッチの作品でした。

ブレア・ウィッチ・プロジェクト」「クローバー・フィールド」そして先日みたブライアン・デ・パルマ監督の「リダクテッド」といい、この手のドキュメンタリータッチの作品をよく目にします。

手持ちカメラで映像を追っていくこのパターンの映画は正直疲れるのできらいなのですが、いかんせん、今回の「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」はそんな中で秀逸なカメラワークを駆使した傑作でした。

まず、一人の学生がホラー映画を作るにあたってカメラを廻しています。そのカメラを通して、なぜか世界中に蔓延していくゾンビ現象を捉えていくのですが、そのままだと、完全に一人称映像なのですが、途中でもう一台カメラが登場することで、お互いにカメラを取り合うことになり、時折固定された映像が挿入されるので、それほど視線が疲れることはありません。

さらに、テレビ報道のフィルムを挿入することで、映像としてのリズムを作り出し、従来の一人称カメラによる映像とはまた違った、個性的な映像を映し出します。その上、携帯電話による動画、パソコンによるアップされた映像なども盛り込み、現代の映像蔓延社会を風刺するかのごとく描かれていく世界は、ゾンビ映画というホラーにもかかわらず、ロメロ監督ならではの批判精神満載の見事な作品として完成されていました。