くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ホノカアボーイ」

ホノカアボーイ

まったりと癒されるだろうなという期待感から、宣伝フィルムを見ていたときからちょっと気になっていた「ホノカアボーイ」を見る。

導入部から、ハワイのホノカアののんびりした景色が映し出され、一台の車が走ってきます。中に乗っているのはこの映画の主人公のレオこと岡田将生と恋人の蒼井優、二人はけんかをし、結局別れることになって、再び一人でホノカアを、レオがおとづれるところからが本編です。

導入部から、今ひとつ入り込めない淡々とした平凡な映像で、「めがね」や「かもめ食堂」の萩上直子の個性的な映像などはまったく見られません。それゆえか、いまいち、入り込めない上に、役者に対する演出がまったくなされていないとか、マイナス面ばかりが目に付いていました。

しかしながら、中盤から後半にかけて、レオが片思いの恋人長谷川潤が登場し、それに対するほのかな嫉妬心をビーこと倍賞千恵子が抱くあたりから映画のなかに。引き込まれてしまいます
この映画の感想を書く人はたいてい、喜味こいしのちょっとHなおじいさんをほめますが、私はこの人がそれほどの存在感を作品にもたらしているとは思えませんでした。

登場人物たちの紹介やら、そのほんのりとのんびりな行動の数々をコミカルに映し出していくのは本当に楽しいのですが、なんとも、それぞれのシーンが尻切れになり、リズムが途切れるのはちょっともったいないですね。原作がどの程度そのあたりのエピソードを含んでいるのかはわかりませんが、映画としての一本の映像としてはやや物足りなさを感じます。

とはいっても、後半三分の一はさすがに引き込まれ、なぜかほんのりと感動してしまうのですから、それはそれでいい映画だったのでしょうか?
深津絵梨をちらりと出してみたりした遊び心もわからないわけではありませんが、全体として、脚本が弱い点、演出において、いくら俳優陣が芸達者とはいえ任せきりにせず、監督の個性を発揮させるべく、演出という作業を行うべきだったと思います。
いい映画ですが、秀作とまではいきませんね。