くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「フィッシュストーリー」

フィッシュストーリー

アヒルと鴨のコインロッカー」のスタッフが再集結した「フィッシュストーリー」を見てきました
彗星が地球に衝突する5時間前、さらに10年前、そしてさらに・・・といくつかの時代の物語が同時進行で進み交錯し、やがてラストシーンでひとつにつながるという展開は「アヒルと鴨のコインロッカー」と同様ですが、どうなるのどうなるのと気をもませて、最期にスカッと終わらせてくれるのはありがたいですね。

映像表現に特に個性を持たせた演出は見られません。「チームバチスタの栄光」「ジェネラルルージュの凱旋」でもそうですが、中村義洋監督の演出は映像に凝るというタイプではないようです。
一つ一つのシーンを丁寧に畳み掛けるように演出して、糸をつむぐように物語を語っていくというタイプなので、このような伊坂幸太郎の原作ストーリーはもっとも得意とするのかもしれません。

それぞれの俳優さんも、しっかりとした演技で、パラレルワールドのような物語のそれぞれの場面を見事に演じきっていて、見ていて安心感のある印象を受けました。

それにしても「ノストラダムスの大予言」という彗星衝突をテーマに、さまざまな人間たちのさまざまな人生、そして、それぞれがなんらかにかかわっていくという現実世界の面白さは、時として、何かの映画のパクリかと思わせる部分もあるにもかかわらず、それがまたほほえましくも、ニンマリさせてくれるところは果たして原作の味なのか、中村義洋監督の演出の味なのか、不明ながら楽しめます

アルマゲドン」あり、スティーブン・セガール映画のアクション展開有、「ベスト・キッド」あり、と、さまざまなパロディをちりばめながらも、その根底には不可思議な人間の人生観を痛烈に皮肉っているところがなんともおもしろい。
アヒルと鴨のコインロッカー」ほどの完成度はないものの、かなり上質のできばえではないかと思います