くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「ウォッチメン」

ウォッチメン

誰も彼もが非常に酷評の書き込みばかり見るので、控えていた「ウォッチメン
もう行くつもりはなかったのですが、ちょっと時間があいたので見に行ってみました。はたして、どこがどうひどい映画なのか見てみたかったのもあります。

ところが2時間40分以上あるにも関わらず、最後まで本当に楽しめました。
かなりあら探しで見ていたつもりですが、そんな偏見をもろともせず、次々と進んでいくサスペンスフルな物語と、いきすぎのないビジュアルシーンの数々は「300スリーハンドレッド」で見せた過度なCG場面の欠点を見事に克服していました。

1985年頃の時代背景や、その前にさかのぼる様々な世界の情勢などの知識がないと理解しづらいという意見もありましたが、そんなことはまったくなく、一般教養程度の歴史認識と知識で十分であると思います。それでも、わからないという人は失礼ながらあまりにも教養不足なのではないでしょうか。

ヒーローがヒーローである前に人間であること。ひとときもてはやされたヒーロー、正義の味方などは時代の流れと人々の勝手な価値観の変化などで、当然のように悪に変わるむなしさ。それになやみ、揺らいでいくヒーロー達の姿の寂しさ。このあたりスパイダーマンバットマン、スーパーマンでも描かれているアメコミヒーローの常道のような展開ながら、この「ウォッチメン」にはさらに奥の深い悲劇も存在します。

政府、国家にいいように利用されたヒーロー達。その時代では正義であったものが、時の流れで悪に変わり、それに荷担したことで非難される寂しさ。そんな複雑かつリアリティのある至上的な世界観が見事に描かれています。

そんな物語展開の中で、徐々にヒーローがアンチヒーローに変わっていくかのような展開、そしてラスト、やはりヒーローはヒーローであり続けるという壮大な展開を用意して物語は終わります。

複雑すぎるとか、難解すぎるとかの意見もありましたが、そんな部分など全く感じられない、いい映画だったと思います