「プラハのモーツアルト 魅惑のマスカレード」
モーツアルトが名曲「ドン・ジョヴァンニ」を完成させるに至る物語をサスペンスフルに描いたラブストーリーで、物語の展開は素直に楽しめる一本でした。監督はジョン・スティーブンソン。
話題になっているモーツアルトのフィガロの結婚、その話題の人物をプラハに呼ぼうというプラハの貴族たちの相談から映画が始まる。
女好きのサロカ男爵も気乗りしない中、周辺の人々の思いに賛同した形で金を出す。彼は近々スザンナとの結婚を決めていた。彼はプラハの劇場の支援もしており、誰も彼に逆らうものはいなかった。
そしてモーツァルトが友人のヨゼファ夫人の家に住むことになる。そこにはオペラ歌手でもあるスザンナがいた。やがて、スザンナもモーツァルトに惹かれ二人は恋仲になって行くが、そんな姿にサロカ男爵はいい気がせず、なんとか二人の証拠を掴みモーツァルトを失脚させようとする。
物語はモーツァルトとサロカ男爵の探り合いのような展開で進み、最後は、無理やり手篭めにしようとしたサロカ男爵が勢い余ってスザンナを殺してしまい、ようやく目が覚めたスザンナの父はサロカ男爵を捕まえやがて男爵は絞首刑になる。
一方、この出来事を元にしたオペラ「ドン・ジョヴァンニ」も完成、プラハに妻を呼び寄せたモーツアルトは自らの指揮で「ドン・ジョヴァンニ」を披露して映画が終わる。
クライマックスは「ドン・ジョヴァンニ」の物語とモーツァルトが愛したスザンナの悲恋がかぶさって行く展開となる。
普通の作品ではありますが、「アマデウス」のモーツァルト像とまた違った彼が描かれて良かったです。
「エンドレス・ポエトリー」
まさにアレハンドロ・ホドロフスキーの詩的ワールド全開。楽しかった。いわゆる彼の青春時代を描いた感じの物語ですが、例によって、感性の赴くままに映像展開するシュールな世界観はどんどん引き込まれて行く魅力があります。
物語は少年時代のアレハンドロが両親と首都サンティエゴへやってくるところから始まる。街が舞台転換のようにせり上がりで変化し、等身大写真のパネルの群衆が出迎える。通りを行き交う人々は仮面をかぶっていて個性が見えない。
そんな中、主人公アレハンドロはやがて青年となり、医師になってほしいという両親の思いをよそに、自分は詩人になると家を飛び出す。髪の毛を染めた大柄な女と出会って恋を知り、やがて様々な芸術家と知り合って成長していく。
そして父の元を去りパリへ旅立つところで映画は終わるが、独特の映像表現は本当に素晴らしくて、こういう自由な発想と感性で映画が作られたら楽しいだろうなと思えてしまいます。映画ファンならではの楽しめる一本、そんな作品でした。