くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「書を捨てよ町へ出よう」

書を捨てよ町へ出よう

寺山修司初商業映画作品である。
出だし、真っ暗な画面から始まり、突然主人公である「私」がスクリーンからこちらに語りかけるところから始まる。

映画という媒体の常識を完全に無視した映像づくりで、時にカメラを持って走っていく画像でぶれまくっているし、シャワーの湯気を噴きながら撮影していて、レンズを拭く手が見えるし、わざとずらした映写事故のような画面はあるし、何でもありのやってしまえという映画であった。

物語といえば、主人公「私」の家族、そして生活、関わる人々、社会への不満、インタビュー等々、寺山修司のやりたい放題の展開で、やたら文句ばかりぶつぶつ言う主人公に辟易してくるのであるが、それとなく物語も伝わってくるので、仕方なく最後までみたという感想でした。

先日みた「田園に死す」「さらば箱船」のようなサイケデリックな美しい映像詩がみられるわけでもなく、非常に低予算的なありきたりの画面が展開するので、美しいシーンを期待していた私は独りよがりの主義主張の押しつけ的な展開にうんざりしたことも確かでした。これが傑作なのか、才能なのかといわれたら何ともコメントできない。

もともと舞台劇だったらしく、アングラ劇団ならではの物語を映像化したのだろうと思われる。これを最初にみていたらほかの寺山修司作品はいっていなかったかもしれないですね。