くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ロミオとジュリエット」

ロミオとジュリエット

30数年ぶりにスクリーンで見直した。午前10時の映画祭である
名作という先入観を無視しても、この映画はシェークスピア劇の映像化の中では一級品だと思う。

シェークスピア戯曲の中のセリフの数々がしつこいほど出てくるが、それをものともせずに映像が展開していく、そのリズム感とテンポのうまさはまさしくフランコ・ゼフィレッリならではの才能だったのだといまさらながら再確認した。

さらにオリビア・ハッセーが目が覚めるほどにかわいらしかったのも改めて納得してしまいました。どのショットも、どのシーンも彼女が出てくるとどきどきするほどに引き込まれる。彼女の愛らしさがある意味この映画を最後まで引っ張っていく力の一部になっていることは疑えない。

シェークスピア戯曲のセリフを楽しみながら、すでに結末も知っている物語に酔っていく。時に流れるように、時にぶつけるように、時にクローズアップで私たちに迫ってくる映像テンポの見事さ、ぐーっと引いたときのキャピュロット家とモンターギュ家の衣装の色の対比による美的感性。宗教的な色合いを随所に損なうことなく取り入れるゼフィレッリの繊細な演出。
これはもう才能がなせる業といわざるを得ませんね。

舞踏会でテーマ曲が流れてくると、胸が熱くなってしまいました。
流麗なカメラワークでまだ幼い二人の出会いから、燃え上がる恋心を一気に見せていく前半部分は圧巻です。

忘れていたのは、結婚の後のわずかのインターミッション。二時間あまりの作品ですが休憩があったのを忘れていました。
そして後半、物語は一気に悲劇へと突き進みますが、あたかも神の導きのごとく次から次と不幸な展開へ転がり落ちていく二人の運命がじわじわと迫ってくるあたりはもうなんともいえない切なさですね。

こういう映画を見ると、やはり昔の名作は見逃せないなと実感してしまいます。しかもやはりスクリーンでこそ見るべき作品ですね。本当によかった