くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ボーダー」「ザ・エッグ〜ロマノフの秘宝を狙え〜」

ボーダー

「ボーダー」
ロバート・デ・ニーロアル・パチーノ主演、監督がジョン・アヴネットとこれだけスタッフキャストがそろっているにも関わらず公開が遅れ、すでにDVDは発売なっている状態で公開された作品。
できばえは決してひどいものではなくそれなりのレベルの映画で楽しめました。

アップテンポの曲でタイトルが次々と変わっていく中に二人の刑事が射撃練習で的を打っている姿が挟まれます。
タイトルが終わると、ビデオ映像のような画面でロバート・デ・ニーロ扮するターク刑事がなにやら告白するシーンへ。続いてタークとアル・パチーノ扮するルースター刑事のシーンへ続きます。

二人は相棒で、せっかく捕まえた犯人が裁判の結果無罪になることに不満を持ち、数年前にある犯人を証拠品をねつ造して再逮捕した経歴があります。もちろんこれは二人だけの秘密なのですが、そのいきさつが細かいカットの積み重ねで描かれていきます。

時に次々と世間に放たれた凶悪犯が銃殺される事件が相次ぎ、背後に「処刑人となることを決心した・・」等の独白が流れ、冒頭のターク刑事の語るせりふであることがわかります。次々と細かいカットでストーリーが展開するのでめまぐるしいのですが、シーンを前後させる編集はなかなかのもので、引き込んでくれます。

物語が進んでいくと、どうやら処刑人である犯人はターク刑事であるかのように私たちは思わせられてきて、ストーリーもその方向へ進んでいくように思われます。そこに相棒であるルースター刑事の相棒を守らんとする画策や、若い刑事たちの疑惑などが絡んできて物語はいよいよクライマックスへ。

ところが、そこにきて、真犯人はルースター刑事であるというどんでん返しが待っています。ここにいたる見せ場が見事で、畳みかけるように真相が見えてくるシーンは秀逸です。
結局、ターク刑事がルースター刑事を銃殺し事件は解決、その調書を上層部へ報告するシーンで物語は終わりますが、全編短いカットをつないでいき、ストーリーを細かく分断して組み合わせるというミステリアスな展開はなかなか見所のある遺作でした。


「ザ・エッグ〜ロマノフの秘宝を狙え〜」
こちらもモーガン・フリーマンアントニオ・バンデラス主演、ミミ・レダー監督作品にもかかわらず干されていた作品。

モノクロームの映像の中で大浴場のようなところで男たちが裸で浸っている。そこへモーガン・フリーマン扮するキースが銃を持って現れ一人の男ビクトルを撃つ。

場面は変わって、ロマノフの宝石店から二人の男が出てくる。なにやら大事そうにジュラルミンケースをもっている。彼らの背後からアントニオ・バンデラス扮するガブリエルがつけていく。そんなガブリエルをキースが見つめている。
地下鉄に乗った二人の男に近づき銃で脅してダイヤモンドを盗むガブリエル。見事な逃亡劇で地下鉄から脱出するもキースが声をかける。
このキース、大泥棒で、毎回捕まるが優秀な弁護士に保釈されている人物なのである

キースの目的はロマノフの宝石店にあるという伝説のファベルジェの卵という装飾品を奪う計画の相棒を捜していたのである。
ややラテン系の音楽でどんどん物語が進んでいく展開はスピーディーで飽きさせないおもしろさがあります。

ガブリエルとキースたちの周りを囲む人物たちの存在感も抜群で、物語に深みがあり、二転三転するストーリーのおもしろさを十分満喫させてくれるものがあります。
見事な計画と行動力で金庫にたどり着き、装飾品を見つけたところでガブリエルは「自分はマイアミからきた刑事である」と白状し装飾品をもって、逃げてしまう。一方のキースは金庫に閉じこめられるも、彼にはさらなる秘策が。

ガブリエルはロシアンマフィアに人質に取られているビクトルの娘アレクサンドラを助けるために装飾品をそのボスニッキーに渡すのだが・・・
物語はここから二転三転。実はニッキーとは実は冒頭で銃殺されたかのように写されたキースの相棒のビクトルであり、ガブリエルが刑事であることも当初から知っていたという真相が明らかになる。

結局、ファベルジュの卵はビクトルとキースの手に、ガブリエルはアレクサンドラと恋が実るというエンディングである。
これだけ質の高い作品にもかかわらず公開されなかったのは解せないが、なかなかおもしろい娯楽映画だったと思います