くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「荒野の1ドル銀貨」「情無用のジャンゴ」

荒野の1ドル銀貨

「荒野の1ドル銀貨」
今やテレビ洋画劇場で放映することもなくなったマカロニウエスタン。この作品も小学生の頃何度となく見た映画である。
初めてスクリーン(というか大画面)でみたが、こんなにつまらないストーリーだったかと思ってしまった。主演のゲイリー・オハラ(ジュリアーノ・ジェンマ)もそんなにかっこよくもない。ただ、あのテーマ曲はすばらしかった。

映画が始まるといきなり赤と黄色のイラスト調のアニメチックなタイトルが始まる。
物語は南北戦争が終わって、南軍であった主人公オハラとその弟フィルが解放されるところから始まる。銃身の切られた銃を渡され、不満を言いながら、ふつうの銃で見事な腕前を見せるオハラとフィル。やがて、二人は道の途中で別れ、ゲイリーは故郷へ帰って愛する妻ジュリーと再会。そこで貯めていたお金を出して銀貨一枚ポケットに入れて仕事を探しに出かける。

イエローストーンの町で、そこを牛耳るマッコリーにブラッキーなる男を倒してくれと頼まれ、酒場へ向かうと、なんとそのブラッキーとはフィルその人。一瞬のまもなくお互い同士討ちに、しかしゲイリーはポケットの1ドル銀貨で命拾いする。しかしこのマッコリーこそが悪者であったというストーリー展開。

次々とストーリーが進んでいくが、それぞれにほとんど脈絡のないショットが重ねられていくので、?の連続である。そんなストーリーの中でゲイリーはピンチになるかと思えば、助かり、助かったと思えば、つまらないことでピンチになる。何とも苦々しいほど適当な脚本に飽き飽きしてくるのである。

結局、ラストはハッピーエンドだが、昨日みた「続・荒野の用心棒」ほどの世界観もなく、何をどう描きたいのかわからないお気楽な、しかも手抜き一方の作品であった。


「情無用のジャンゴ」
ジム・ジャームッシュが「デッド・マン」でアレンジしているほど、様々な後世の監督が支持した作品ということだったのでちょっと期待していたが、こちらはさらにひどかった。
とにかく、ストーリーに一貫性が全くない上に、登場人物の描き方も全く統一されていなくて、時に正義感であるかと思えば、金に汚い悪党であったり、突然、死においやった子供を悔いる人間的な一面を出したり、敵方も、ただの敵対するもの同士かと思えば、自分の家柄を気にしてみたりとバラバラの脚本にうんざりの一本でした。

出だしはなかなか凝った映像で始まります。二人のインディアンがなにやら探している。手のアップが写り主人公ジャンゴが瀕死ではい出そうとしている。
このジャンゴがどういう状況で瀕死になったのかがフラッシュバックで挿入されたりして、なかなかの映像表現であるが、それも最初のあたりだけで、本編にストーリーが進むと、ただ、その場限りの展開の中で取り立てる演出も映像も見られない。

ただ、前半部分のストーリーは、あたかもホラー映画のごとしであった。
ジャンゴを瀕死にして、自分たち一味は金をもってとある町へやってくると、その町の雰囲気は異様。結局、町の住民たちに惨殺され全員首をつるされてしまう。ここまでが何とも不気味で、ぞくっとする展開である。このあたりのオリジナリティはちょっと特筆かもしれません。

ただ、主人公のジャンゴがこの町で次々と事件に関わってくるところからがひどくて、二転三転するストーリーや人物描写に翻弄され、ジャンゴのかっこよさもなければ、マカロニウエスタン独特の殺伐としたムードもない。ただ、敵と味方がたわいのないことでピンチになり、また有利になり、その繰り返しが、つまらない場面の連続で切り替わっていく様は辟易してしまう。

気の触れた女性がでてくるかと思えば、その女性とジャンゴが恋仲になったりとありきたりの西部劇の展開が次々と挿入される。最後は火事のシーンさえ登場し、てんこ盛りのつなぎ合わせのストーリーが終焉を迎える。
結局、一人馬で去っていくジャンゴの後ろ姿で映画は終わるが、思い返すと何だったのかと思ってしまうのです。