それほど期待はしていなかったが磯村一路監督作品でもあるので、それなりの作品であろうと思っていたが、出だしから、これはちょっとという感覚が最後まで抜けない凡作でした。
とにかく北村景子が終始、ぼそぼそと悲劇のヒロインよろしく演技しているのが、途中から鼻についてくる。さらに大塚寧々が登場するや平凡なお涙映画になってくる。
原作どうなのかわからないが、明らかに脚本が悪い。せりふのやりとり、シーンの展開のリズムが今ひとつストーリーに引き込んでいく魅力が生まれてこないのである。これならテレビのスペシャルで十分であったか、それでももったいないくらいであったかと思います。
クライマックス、事故の瞬間から、直後を主人公泉水(いずみ)が思い出すシーンがとってつけたように演出に力が入っているが、肝心の北川景子の演技が深みがないというか、感情が見えないというか、ぎこちないというか、迫ってこないのである。そして、その後に続く大塚寧々のエピソード、さらには菅井きんのエピローグが必要なのかと思えるほどついでに近い。
結局、原作を映像に消化しきれないままに大根演技で覆ったような作品に仕上がってしまった。残念ですが、お金を払うのがもったいない一本でした