くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「火口のふたり」

「火口のふたり」

あれだけの話で2時間近く見せるということは、脚本が良くできていたのか、演出や演技が優れていたのか、映画としてなかなかの仕上がりの作品でした。監督は荒井晴彦

 

いとこの直子が結婚するからという連絡をもらい10年ぶりに実家に帰ってきた賢治。訪ねてきた直子に頼まれて買い物に付き合い、新居まで行ったのだが、そこで、今夜だけあの頃に戻ろうと直子に言われる。実は、賢治と直子はかつて付き合い、SEX三昧の日々を送っていた。

 

賢治が別の女性と結婚して間も無く離婚、直子は来週、自衛隊のエリート士官と結婚することになっている。一晩だけだったが、お互いかつての体を思い出し、結婚式までの数日、昔に戻ることにする。

 

あとはSEXシーンの連続なのだが、いやらしさより、純粋な情熱が伝わる展開になる。そしてお互いのこれまでを思い出しながら、といってこれからの人生を壊すつもりもない。

 

ところが、結婚式が迫ったある日、突然延期になる。理由はなんと富士山が噴火する兆候があり、その災害対策の責任者に抜擢されたらしいとわかる。そして噴火。賢治と直子は当てもない日々を暮らし始めて映画は終わる。

 

淡々と進む展開なのですが、さめたストーリーの中に、どこか心の中のうねりが伝わってくるさまはなかなかの見応えがあります。凡作にならない仕上がりが見事な一本だった気がします。