とにかく、始まったとたん見せ場の連続のアクションシーンで、最後まで全然飽きさせない。
映画が始まるとメキシコのとある町、ハンニバル(リーアム・ニーソン)がメキシコ人のふたりの警官に椅子に縛られ責められている。すんでの所で足す方ハンニバルは持ち前の機転で脱出、実は一人の仲間を助けるためにメキシコに乗り込んだのだ。一方B・Aは自分の車を取り戻して意気揚々と走っている。そこへハンニバルと出会い、やがてAチームのメンバーが仲間になっていく下りをスリリングなアクションシーンの連続で描いていく。今のはやりかも知れませんが、「ゾンビランド」のようにタイトルバックが続きます。
本筋に入っても次から次に派手なアクションと、二転三転しながら次々と見せ場がひっきりなしに現れ、正直飽きてくるほどのド派手シーンの連続にスクリーンから目が離せません。
いったい、この物語のポイントはどこにあるの?いったい何を見せたいの?と思わせるほど次々と人間離れしたシーンの連続と、やたらハイテンションな主人公たちの姿はある意味あまりにも非現実的といえなくもありません。しかし、これがアメリカンエンターテインメントではないかといえば全くその通り。かつてアメリカ映画はこのようになんに中身もない見せ場連続の娯楽の王様だったのです。
そんな、エンターテインメントに徹した作り方で、楽しいだけで見た後に何も残らない薄っぺらさはあるのですが、これはこれで映画を楽しむ原点ではないかと思います。その点ではこの映画は評価してしかるべきです。
ただ、派手な見せ場を細かいカットやハイテンポな手持ちカメラの演出で次々と用意したために、せっかく、割と緻密に練られた物語やハンニバルの知的な機転の見事さなどが陰に隠れてしまったのはちょっともったいないですね。
楽しめる一級品のエンターテインメントですが、物語の見せ場も十分あるのですから、そのあたりのポイントにも焦点を当てた演出をしたら娯楽映画として傑作になり得たかも知れません。
まぁ、そんな分析などそっちのけて、楽しめればいいと思いますけどね。