くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ジャーロ」

ジャーロ

この手のB級ホラー映画にどうのこうのという意味もないと思うので、これはこれでいいだろうと思う。ストーリーは適当だし、猟奇殺人を行う異常な犯人もラストでまともに逃亡を考えるなんていうのは笑止の如しであるが、まぁいいじゃないですか?

さて、本当に久しぶりにダリオ・アルジェント監督作品にふれました。いったい、今おいくつなのだろうかと思いますが、所々に見せるアルジェントタッチはまだまだ健在でした。
映画が始まると、不気味な音楽とタイトルが流れます。そしてとあるオペラ会場、そこへやってきた日本人の二人の観光客。交差する映像でなにやらタクシーらしき車が夜の町を走っている。それに先だって注射器に薬を入れるショットが入れられているので、どうやらこの車に乗るのはこの映画の殺人鬼であろうと想像できます。

このシーンの音楽効果のうまさはやはりダリオ・アルジェントといえるのでしょうか?
さて、日本人の二人の女性は一人が適当な彼氏を見つけたのでもう一人は外へ。でたとたんに雨、騒ぎながらすれ違う人、ショッキングな音の効果でなにやら予感させられます。このあたりの演出の妙はまさにダリオ・アルジェントらしい。

こうして第一の犠牲者がタクシーに乗せられ物語は本編へ。
場面は変わってファッションショーの会場。そのモデルの一人に姉が外国から訪ねてきた旨の電話が入る。
姉を待たせ、仕事を終えたモデルはタクシーへ。そして拉致される。

妹が行方不明になった姉は警察でエンツィオというこの手の事件専門の刑事を紹介され、二人で妹を捜す。
その合間合間に、猟奇的な行為を行う犯人の姿、エンツィオの子供時代の不幸な出来事が紹介される。この過去のイメージシーンがなかなか秀逸で、斜めの構図でとらえた長回しの映像はちょっと見応えがあります。

クライマックスは当然のごとく、犯人を追いつめるのですが、その居場所が分かる下りなどにこれといった斬新さもないし、冒頭でも書きましたが、逃げるためにふつうの行動をする犯人がなんとも平凡。
犯人を射殺したために妹の居場所が不明になるけれども、実は犯人のタクシーの車のトランクに閉じこめられていて、たまたま通った警官が発見して映画は終わります。

取り立てるところもないたわいのないB級映画です。ダリオ・アルジェント作品でなかったらぼろくそに書いているかもしれません。でも、久しぶりのアルジェント作品で満足でした。