くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アメリア 永遠の翼」

アメリア永遠の翼

太平洋を女性として単独横断に成功したアメリア・イヤーハートの半生をつづったいわば伝記映画である。丁寧なストーリーテリングが安心してみていられる秀作でした。カメラもスチュアート・ドラバーグとベテランを起用し、飛行機をとらえた風景のカメラが非常に美しく、まるで風景用の映像を見ているかのような感動を呼び起こしてくれます。そして、そんな風景の中で不屈の勇気で飛行機を操縦する主人公の姿がなんとも頼もしく見えてくるのがいいですね。

映画が始まると、今まさに世界一周の飛行横断に挑戦しようとする主人公アメリアの姿、そして飛び立って行く様子をとらえたカメラ。場面が変わると少女時代、飛行機に魅せられ、将来の夢を語るナレーション、そして女性パイロットとして脚光を会び始めた彼女の姿へ場面は移っていきます。

シャープに撮影されたカメラと横長の画面を有効に利用した構図が1920年代から1930年代にかけてのアメリカの姿を美しく語っていきます。物語の中に夫であるジョージ(リチャード・ギア)の資金集めに走るせりふやシーンの数々、あるいは女性パイロットとしてマスコミにもてはやされる場面があるものの非常にさりげなく流し、さらにジーン(ユアン・マクレガー)との不倫問題も軽くいなしていくロン・バスの脚本が本当に好感で、あくまでアメリアの夢を追い求めていくだけの生き方を叙実に描こうとするスタッフの気持ちがそのまま素直に反映されていて見ていて爽快でした。

クライマックスは、冒頭で写された世界一周の途上になり、燃料供給のために太平洋用の無人島を目指すシーンが最後の見所になりますが、ここは史実ですから、結局、彼女は太平洋上で行方不明になって映画は終わります。一人浜辺に座る夫ジョージの姿が何とも寂しいエンディングですが、見終わって心に残る名編だったと思います。