くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ソウル・キッチン」

ソウル・キッチン

期待の映画「ソウル・キッチン」をみてきました。
ハイテンポな音楽とモダンな映像でリズム感あふれる作品でした。そのバイタリティあふれるカメラワークはこの作品の見所でしょうか?とってつけたようなどたばたコメディを中心としたストーリーの陽気さはこの映画の最大の魅力でしょうか?そんな、てんこ盛りの見所満載のエンターテインメントなのですが、どことなくぎこちないと感じるのは私だけでしょうか?

映画が始まると、寂れた線路をゆっくりとカメラが進むようにこの映画の舞台”ソウル・キッチン”が見えてきます。
適当なジャンクフードを売っている適当なレストラン。そんなイメージで始まるこの映画、これからどんな展開があるのかとわくわくしながら、テンポに乗る準備をしてみているのですが、いかんせん、今一つリズムに乗ってこない。

主人公ジノスの恋人が上海に行くということで、焦る姿、今一つ儲かっていないレストランにこれでもかと滞納の催促などが飛び込んでくる。
この導入部がちょっとワンテンポ長いために、天才シェフ(といってもただの変わり者)がやってきて、あれよあれよと盛り上がってくる展開までがなんともちょっとさみしい。さらに、盛り上がりの原因はジノスの兄が持ち込んでくる盗品のプレーヤーやここを根城に練習をしているバンドの盛り上がりであるようにも見える。

ところがこの訳の分からない盛り上がりのシーンから、カメラは非常に流麗にしかも縦横無尽に動き始める。音楽のリズムも映像のテンポに乗ってくる。
そして、このレストランをねらっているジノスの友人の不動産屋の陰がちらつき、物語はどんどんどたばた喜劇へと展開していく。

ジノスの腰の異常がシーンシーンで笑いを誘うように絡んでくるがこれもまた今一つ迫力に欠けるのが残念。
中盤から終盤にかけてコミカルな展開がどんどんエスカレートして引き込んでくるのですが、すでに映画は終盤。

結局、笑いで盛り上がった後に、兄のばくちで一時は手放したレストランを間一髪で元恋人からの借金で競売を落札、腰のマッサージをしてくれていた女性と二人キリで”ソウル・キッチン”でディナーをするシーンで映画が終わる。

優れたシーンやショット、あるいはわくわくさせるカメラワークなども時に見られるのですが、今一つ全体のバランスに弱さがある。気楽に乗ってしまえばいいのかもしれないけれど、ちょっとそのあたりが非常に残念な作品でした。期待しすぎていたのかもしれません。