くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ジョーカー・ゲーム」「マエストロ!」「ウエディング・バ

kurawan2015-02-04

ジョーカーゲーム
切れのいい演出と、スピーディな展開で一気に見せる映像演出が見事な、娯楽アクション映画の傑作。邦画でもここまで作れる物があるのかと感心してしまった。

全体のストーリー展開のパターンは、ルパン三世である。特にラストシーンはほとんど模倣に近いが、それをさておいても、展開のわくわく感は見事なものである。

深田恭子のコスプレをみるだけでも、ドキドキ物の映画ですが、出だしから、一気に本編になだれ込んで、走り抜けていくエピソードの積み重ねが、息つく暇もない。

陸軍士官学校の訓練シーンに始まり、主人公嘉藤がD機関にスカウトされ、一気にスパイとして育てられ、南国の国に派遣される。

目的は新型爆弾の設計図。つまり原爆の設計図奪取だ。

後は、次々と、繰り返される各国の諜報部員との戦い、だまし試合が、次々とストーリーを運んでいく。

深田恭子がメイド服から、チャイナ服、ボーイッシュから、バトルスーツ、華麗なワンピース間でお色直しをしてエンディング。

ドキドキする展開も、すっかり引き込まれるが、細かいカットでつなぎながらも、陳腐にならないアクションシーンが秀逸。

これほどの娯楽映画を作れる監督の次に期待したい一本でした。監督入江悠です。


「マエストロ!」
資金不足で解散したプロの交響楽団が、再結成され、そこへやってきた破天荒な指揮者に翻弄されながら、再び演奏し、一つになっていく感動の人間ドラマである。

導入部がとにかくおもしろい。的確に演奏者の欠点を指摘し、納得させていく指揮者のキャラクター紹介場面はいいが、肝心のコンマスの主人公香坂真一が、際だってこない。しかも、中盤で中だるみしてしまった物語がそのままクライマックスまで引きずるので、しまりのないラストシーンで締めくくってしまった。

結局、みんなを集めたキャラであるあまねも今一つ、後半にだれてしまった脚本と演出のために天道と、その妻の悲哀物語もありきたりすぎて涙を誘わない。

典型的な、お任せ映画になったという感じで、導入部がおもしろかったために、本当にもったいない気がする。

残念な一本でした。


「ウェディング・バンケット
これはおもしろかった。さすがにベルリン映画祭金熊賞受賞の傑作だけのことはある。監督はアン・リーである。

映画はアメリカで暮らすサイモンとウェイトン。二人はゲイであるが、両親も知らない。あまりに結婚を勧められるウェイトンにサイモンのアイデアで、グリーンカードを欲しがっているウェイウェイと偽装結婚を計画する。ところが、ウェイトンの両親がやってきてしまう。

事務的にすませた結婚式に、不満げな両親は、たまたま寄ったレストランのオーナーがかつての使用人であったことから、派手な中国式披露宴に発展。どんどんエスカレートするどたばた劇が、とにかく快調に物語を運んでいく。

このスピード感というか、テンポが最高なのである。

コミカルに展開するお話の端々に、サイモンの寂しい表情や、両親の心の動きがかいまみえる映像が、とにかく秀逸で、ウェイトンとウェイウェイがぎこちなく新婚夫婦を演じる映像に被さるリズム感は、見事なものである。

ようやく終わった披露宴だが、その初夜にウェイトンとウェイウェイが関係を持ってしまい、しかも妊娠してしまう。さらに、ウェイトンの母にサイモンとウェイトンがゲイであることがばれ、物語はどんどんエスカレートしていくのです。

終盤、中絶を決意したウェイウェイにつきそうウェイトン、英語が分からないと思ってサイモンとウェイトンが喧嘩していたのを、実はウェイトンの父が理解していて、お金をサイモンに渡す下りから、やがて両親が空港に消えるラストシーンへと流れるストーリー展開のうまさ。

何ともいえない、心に残る感動に、この映画のすばらしさを実感して暗転する。

本当に、心に響くいい映画でした。