くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「婚前特急」

婚前特急

今注目の吉高由里子さん主演で期待していた作品だったのですが、なんとも切れの悪い演出にうんざりした一本でした。とにかく、一つ一つのシーンがやたらくどい。物語全体の展開にリズム感がなくてだらだらとストーリーが進んでいく。しかも、吉高由里子ちゃんの魅力が今一つ生き生きしていない上に、相手役の鈍くさい男のキャラクターがどうも弱いのです。

主人公のほかの四人の男性もでてきたといえばでてきたのですが、それぞれが物語の中で生き生きしていない上に、結局クライマックスに至ってもどうなったのかという結論がでないままにエンディングになってしまう。

コメディとしてもっと歯切れよく、軽快に弾むような展開をしていかないと、せっかくの主人公のキャラクターがよけいに目立ってこないのです。コマーシャルなどで演技をする吉高由里子さんの抜群のイメージ創造力に毎回うならせられている私としては本当に残念なのです。

おもしろい物語のはずが笑えない結果になるのはいかにももったいないですね。
映画が始まると、主人公チエの親友が結婚、ということになり、それに伴って、自分がつきあっている5人の男性を品定めする下りへ。そしてその5人の紹介シーンがストップモーションやらで非常に簡単にすませてしまう。しかも、おもしろみも何ともない名前と性格の羅列に近い紹介なので、それぞれの男性の個性がちっとも伝わってこない。

そして、しがないパン工場の工員がチエに「もともとつきあってなかったじゃん」というおとぼけたセリフを言う当たりでこの作品のキーとなる物語へと入り込ませないといけないのですが、どうもタイミングがいまいち。それに、他の男性の紹介からして、物語はこのパン工場の工員タクミとゴールインするのだろうとほとんどストーリーがばれてしまう。

にもかかわらず、タクミが密かに想いを寄せる女の子とのいきさつが、ゴールイン寸前までしつこく語られ、最後の最後で、やっぱり好き同士はタクミとチエへと落ち着かせる下りのしつこいこと。
ラストシーンにでてくる隣のおばあさんも、何なの?という感じてとってつけたように登場するし、もっと工夫した脚本ウィットに富んだセリフの数々と楽しい演出を工夫しておもしろおかしく引き込んでいかないとラブコメとしてみていられないわけです。

演技力に注目している吉高由里子ちゃんの作品ゆえに何とも残念な一本でした。