くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「GANTZ: PERFECT ANSWER」

GANTZ: PERFECT ANSWER

前作があまりにも期待を裏切られたためにがっかりしていたこの作品であるが、この後半部分は普通のアクション映画に仕上げられていてそれなりに楽しむことが出来ました。というか、原作を読んでいるものとして、未だ完結していない物語をどういう風に終わらせるのかが一番の興味でもあったのです。

この後半部分は前作が原作にほぼ忠実に描いたのに対し、オリジナルのストーリーでつづっていったため肩のこらない単純なアクション映画に仕上げることができたのでしょう。これといって目を見張るシーンもショットもなく、主人公を華やかに着飾る作品に仕上げていたのでそれはそれでおもしろかったです。

原作の壮大なテーマは後半に進むにつれ、なぜ、このガンツという黒い玉があるのか、なぜ作られたのか、その目的などが語られて哲学的なスケールの大きい展開へ進みます。その前哨戦として、映画の前半部分で描かれた奇妙な星人たちとの壮絶な戦いが存在するのですが、とても、原作通りに後半も映像化することは不可能なのは当初からわかっていたのでしょう。そこで、主人公玄野と加藤に焦点を当て、彼らをヒーローにしたヒロイズム満載のアクション映画に仕上げたのでしょう。
したがって、ラストシーンで玄野がガンツの中身と入れ替わるというエンディングの意味、ガンツの玉の今後の存在の意味、そして、生き返った人々のこれからの人生などについての説明は一切無視した形でした。でもそれはそれでいいのではないでしょうか?結局、戦いを望んでくる星人はいったい何なのかを結局証さず、すべて死んだわけではないというエンディングであり、といって、再びガンツが人を呼び寄せないと言っている。矛盾だらけのラストには正直、まぁいいかとあきらめざるを得ませんでした。

アクションシーン、特に松山ケンイチの二役と二宮との三つどもえの戦いシーンと地下鉄内のバトルシーンが一番の見せ所ですが、まぁ、特に秀でた演出でもなかったともいます。佐藤信介監督は「修羅雪姫」なども演出してますが、どこかあのビデオムービー的なアクションが大スクリーンに展開したという感じですね。

後半部分であるためでしょうか、それぞれのキャラクターの人物描写はすべて手抜きで全くなされていないために作品に奥の深さは全くありません。そのあたりは、この手のアクションで普通の映画に仕上げるならそれで十分といえば十分です。
ちょっと、だらだらとアクションが長く見えるところもありましたが、3時間あまり退屈はしなかったのでまぁよしとしましょう。