くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「女系家族」

女系家族

ご存じ山崎豊子の代表作の一本。すでにテレビなどでもドラマ化されていてストーリーは知っていたものの、映画としての迫力に圧倒されるすばらしいサスペンスでした。

なんといっても、老舗の三姉妹を演じた京マチ子ら三人の演技、さらには叔母の役で登場する浪速千栄子、さらにはくせ者の大番頭を演じた中村鴈治郎の迫力に圧倒される。これぞ演技合戦といわんばかりの丁々発止の罵り合いがものすごい。さらにそれらを受けてたつ若尾文子扮するお妾さんのふてぶてしさに度肝を抜かれてくる。

時代劇で見せた三隅研次らしい美的な様式美の画面構図はやはり現代劇として控えられているものの、老舗の矢島商店を俯瞰でとらえたショットやさりげなくとらえる大阪の町並みなどドキッと知るほどの迫力が感じられ、重厚な物語に彩りを加えてくれます。

日本映画黄金期、壮観ともいえる芸達者な俳優陣をそろえ、宮川一夫の見事なカメラの力もあり、山崎豊子らしいしっかりとしたストーリー構成のおもしろさを見事に映像に再現したまさに傑作でありました。