くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「リメンバー・ミー」「メカニック」

リメンバー・ミー

リメンバー・ミー
「トワイライト」シリーズのロバート・パティンソンが製作を努めたシリアスなラブストーリーというふれこみなのですが、これがちょっと一見の価値のある一品でした。
といって、特に秀逸なシーンがあるとか演出が優れているとか画像がきれいとかいうありきたりの代物ではありません。

映画が始まると駅のホーム。母と娘が電車を待っているのですが、離れたところにチンピラ風の不穏な空気のある若者二人。不安に思った母親が娘をしっかり引き寄せてたっていると、一人の若者が前を通り過ぎる。安心したと単に電車が入ってきて同時に二人が母娘のところへ来て従で脅しバッグをひったくって電車に乗る。何とか何を逃れたかと思った瞬間、電車のドアが開いてピストルを持った一人に母親が殺される。

そして時は10年後2001年へと移ります。
主人公のタイラー(ロバート・パティンソン)は平凡な大学生で、年の離れた妹キャロラインをかわいがり、悪友エイダンと日々を過ごしている。弁護士事務所を運営する父親とは仲が悪く、仕事一筋の父とは家族の中でわだかまりがある。兄は以前自殺しているという境遇の青年である。

一方、冒頭で母親を殺された女の子アリーは大学生となり刑事をする父クレイグと二人暮らしである。

ある日、喧嘩の仲裁でいさかいになったタイラーとエイダンはクレイグ警部につかまり、それが縁でタイラーはアリーと交際を始める。
こうして物語はこの二人のラブストーリーを中心に描いていくのですが、カメラが非常に静かなタッチで画面を作り出し、淡々と進むストーリーになぜか哀愁が漂うのです。キャロラインは非常に絵がうまいのですがいつも学校でいじめにあっている。そんなキャロラインをかわいがるタイラーの姿も一方で描かれます。

タイラーの家族の諍い、アリーを溺愛するクレイグ警部の心の不安などが普通のホームドラマのように描かれていきますが、キャロラインがひどいいじめにあったことでタイラーの父も学校側と争って見せると言い出し、そんな父の姿にようやくわだかまりをなくすタイラー。アリーとの中も進展し、このままはっぴエンドに向かおうとすべく展開していきます。

わだかまりのなくなったタイラーと父は父の事務所でキャロラインのことで学校側への対応などを相談するため待ち合わせることになり、崎に事務所へ行くタイラー。キャロラインを学校へ送っていく父。タイラーの父子が仲直りしたことで喜ぶアリーのショットの後、カメラは事務所でひとり待つタイラーへ。そしてカメラが窓の外へとグーンと引いていくとそこは貿易センタービル。時は2001年9月11日。ここでようやく、この映画の結末を目にするのです。

直接ビルに航空機が突っ込むシーンは描かれませんが、ビルの様子を見上げるアリー、キャロライン、クレイグ警部などのショットで映画は終わります。一気に悲劇へと落ちていくエンディングはそれまでが実に淡々と描かれていたので対照的にショッキングで、思わず心の中で叫んでしまいました。
特に完成度の高い映画ではないにせよ、このラストシーンでこの映画のテーマが一気に彷彿とさせられ、胸に迫るものを感じました。一見の映画だったと思います。

「メカニック」
ご存知、マイケル・ウィナーチャールズ・ブロンソンを主演に描いたアクション映画のリメイク版である。オリジナル版はテレビでしか見ていないのですが、ラストシーンの大逆転に爽快感を味わった覚えがあります。

この手のアクション映画のリメイク作品はたいていやたら物量作戦になり派手になるばかりで中身のない薄っぺらな出来上がりになりがちですが、この作品もご他聞にもれずやたら銃撃戦とアクションがとってつけたように展開する物語になっています。しかも、最近の映画よろしく最新テクノロジーが登場。そのために、せっかくの暗殺のテクニックの妙味が薄っぺらになってしまったのが本当に残念でした。

今回の監督は「トゥームレイダー」のサイモン・ウェスト。それなりのアクションの切れは見事ですが、せっかくの手作りの暗殺テクニックよりもその後に無理やり続く派手な銃撃戦はいただけません。
基本的なストーリー展開はオリジナル作品とほとんど同じなので、冒頭で主人公のアーサーが組織のボスで友人でもあるハリー(ドナルド・サザーランド)を殺すところから物語が本筋に入っていって、ハリーの息子スティーブを相棒にして次の暗殺の仕事をこなしていくという展開になる。

ただ、時はデジタル全盛でオリジナル版の時代よりも30年以上たっているためにかなりハイテクなものややたらど派手な銃器がどんどん出てくるので、暗殺計画の面白さよりもやたらどんぱちになってしまう。
そして、やがて事の真相が明らかになり、アーサーがだまされたことをシって組織のもう一人のボスを殺すくだりもカーアクションと銃撃戦の応酬が所狭しと展開。はでで、にぎやかなアクションに仕上がっているものの、肝心の手作りの面白さがかなり消えています。

そして、父を殺した男がアーサーと知ったスティーブはアーサーを殺沿うとするが、エンディングのどんでん返しで逆転で殺されてしまうエンディングはオリジナル版とほぼ同じである。この爽快感だけがこの作品の見所でありました。
さらにいうと、やはりチャールズ・ブロンソンの存在感はジェイソン・ステイサムでは演じ切れなかった気がします。それにスティーブを演じたベン・フォスターもオリジナル版のジャン・マイケル・ヴィンセントほどの青臭い青年ぶりになっていないのでキャラクターがたってこないのですよね。その辺りもあって、非常に面白いオリジナルストーリーなのですからもっとその味を出してほしかった気がします