くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アベンジャーズ」

アベンジャーズ

この手の映画はとにかくおもしろいかおもしろくないかだけで十分かもしれないが、映画としてレベルが高いかどうかはもう一度見たくなるかどうかではないかと思う。その点、この映画は面白かったけれどももう一度見ようとは思わない。同じ二時間以上ある「ダークナイト・ライジング」の完成度の高さと比べると同じSFアクションでもその差は歴然となってしまう。

ひたすらCGによる派手なバトルシーンの連続。終盤の何十分かはひたすら爆破シーン、飛行シーン、アクションシーンでめまぐるしいほどである。故に逆に緩急がまったくなくてどこがみどころかと思えるような似通ったシーンが繰り返される。しかし、とにかく派手なので退屈しない。

強いてしんどい場面が中盤の空飛ぶ要塞でのバトルシーンの前後である。やたら登場人物たちの屁理屈とせりふの応酬がしつこい。もちろん、そのせりふの応酬による油断がピンチを呼ぶという設定なのだが、観客を引き込むほど練られた会話ではないためにちんぷんかんぷんでただしゃべっているだけに見えるのがちょっと残念。

結局、日本人にはあまりメジャーではないマーベルコミックのヒーローたちがオールスターで異次元からやってきた化け物たちと戦う。それぞれのヒーローが個性の持ち主なのに全員一致するとどれも似たり寄ったり。あれだけ派手なバトルをしているのに犠牲者のショットがまったく無いまさにリアリティの無いバトル。にもかかわらず、閉じこめられた市民を救う場面や出口のないバスから人々を救い出すシーン、とどめにエンドタイトルの後に異次元の悪役が「こいつらがいるなら地球に攻め込むことは無理だ」というようなせりふをはいてヒーローたちのヒューマニズムの映画にしてしまう。

何のこだわりもないヒーローアクションとしてスカット仕上げればよかったが、どこかこだわったヒューマニズムアメリカに対するナショナリズムがちょっとはなについたのが非常に残念。日本でこの手のアクションがストレートにヒットしないのは「謎」が少なすぎるのである。最初からシールドの正体がどこか胡散臭く見え隠れするし、片目のボスもそれほどのあくの強さも無い。ただ、映ってくる派手なシーンをぼんやりと見ればいいのだが、それで満足しないのが日本人。「エヴァンゲリオン」などが受け入れられるのがその証拠である。

とはいえ、なにも考えずぼんやりとお金にものをいわせた特撮映画に浸るのもよかったかもしれない。損をしたという気持ちにはならないし、もっと素直に楽しんでれば良いよね。そんな映画でした