くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]」

大奥 永遠

レ・ミゼラブル」見に行くつもりが、なぜか突然「大奥」をみた。で、このシリーズに作品としてのレベル云々を言う必要がないのでそれはさておき、なぜかテレビシリーズも同じくこの物語が好きなのです。第一作もそれなりに満足してほめたように思いますが、今回の物語もラストシーンはしんみりと感動してしまった。

映画の前作が吉宗編で、いわゆる原作でもその冒頭部分であるが、今回はテレビシリーズの誕生編をうけての綱吉編である。テレビで玉栄として登場した後の綱吉の父となる人物がすでに坊さんとなって登場。そしてテレビシリーズの有功として登場した堺雅人ば右衛門佐として別役で登場する。

世継ぎを生むためにまるで遊女のごとくつぎつぎと男性としとねを共にする綱吉の物語で、前半の右衛門佐が大奥に入って一気に総取締役となるまでの下りはサスペンスフルに、そして後半、綱吉の苦悩が人間ドラマとして描かれていく。原作のストーリー展開のおもしろさが素直に反映されたようで全体に物語のバランスがよくておもしろかった。

ラスト、ようやく右衛門佐が綱吉への想いを遂げ、綱吉も心を入れ替えて政務として世継ぎを決め、右衛門佐との恋に晩年の人生をかけようと右衛門佐の部屋を訪れるシーンでエンディングだが、そのときには時すでに遅く右衛門佐は病魔で突然の死を迎えている。ジンとくるラストである。

さて、作品として分析してみれば、仰々しいクレーン撮影を多用し、テレビではない映画だと訴えかけてくるが、何の意味もないカメラ演出であり、何か映画の演出を勘違いしている金子文紀監督の手腕はちょっといけませんね。しかもやたらパンニングしてカメラを振り回すが、それも意味がない。

色彩部分ですが、今回は前作と違いかなり色調を押さえた衣装になっていてきらびやかさはないものの、全体に落ち着いた画面になっている。しかし、美しい画面の意味が分かっていないのか、ただ単に原色を配置しただけの紅葉のシーンとか桜のシーンはちょっと品がない。もっと、名作と呼べる映画の美しいシーンを勉強すべきである。

まぁ、そんな映画の出来不出来はおいとけばいい映画であり、二時間半ほど楽しめました。それでいいのです。