くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「オズ はじまりの戦い」

オズはじまりの物語

名作童話「オズの魔法使」を最新のCG技術とオリジナルストーリーにして前日談のようなエンターテインメントに仕上げた作品です。

監督が大好きなサム・ライミなのでちょっと期待していましたが、かつてのサム・ライミらしい独特のカットはほとんどなく、非常に平凡な娯楽映画に仕上がっていました。わるくいうと3D映像だけを意識したふつうの映画でした。

全編にジュディー・ガーランド主演の名作ミュージカル「オズの魔法使」へのオマージュがちりばめられています。出だしはモノクロのスタンダードで始まり、タイトルも「オズの魔法使」を意識したデザインになっている。

主人公の魔術師がオズの国にたどり着くと画面は横に広がってフルカラーになる。目新しくもありませんが、ジュディ・ガーランド版と同じ趣向であるのは明らか。

ただ、全体が平凡と感じるのは良い魔女グリンダの存在感というか迫力が今一つ弱いし、悪い魔女の毒々しさも今一つ怖さに欠ける。ストーリー展開もやや平坦に見える。さらにクライマックスの魔術師が仕掛けたトリックの展開も確かに花火のシーンなどディズニー得意の場面を配置して盛り上げようとしているけれど新鮮味とサプライズにかける。

幻灯機で首を浮かび上がらせるショットも「オズの魔法使」のクライマックスと同じで、結局あの名作ミュージカルにつながるべくというか、いかにあの映画がすばらしい創造性に富んでいたかの証明をした結果になった。もちろん原作の描写もこういう感じなのでそれはそれで仕方ないのかもしれませんが、つまりオリジナリティを生み出すより名作映画へのオマージュから離れられなかったのが最大の残念さですね。

予想通り、続編をにおわせる終わり方ですが、続編=ジュディ・ガーランド版「オズの魔法使」といえなくもない。それほど、旧作は名作中の名作なんですよね。

2D版で見ましたが画面は美しいし、損をしたという気持ちはありません。