くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「大地の子守歌」「この子の七つのお祝いに」

kurawan2014-09-26

大地の子守歌」
いったい何度目だろうか、生涯の邦画のベストワン映画をまた見る機会がありました。

やっぱりすばらしい。ほとんどのシーンや台詞が頭に入っているにも関わらず、シーンからシーンへの切り替え、エピソードのつなぎの緻密さ、そんな作品のレベルの問題以上に、原田美枝子の圧倒的な存在感と迫力に気圧されてしまい、クライマックスの諸肌を脱ぐシーンに涙してしまいます。

初めて出会ってから30数年たちますが、未だに感動は薄れません。これが名作、これが傑作、いやそれ以上に、私の映画人生の柱になる作品だと改めて、再認識。
ああ、映画を見ていてよかった。


「この子の七つのお祝いに」
増村保造監督の遺作である。平凡な商業映画という感じで、これが、あの傑作の数々を作った増村監督の作品かと思えるほどの普通の映画だった。いや、テレビのサスペンスレベルというほどの出来映えなのが驚きなのだ。

主演を演じた大女優岩下志麻さえも、精彩を欠いた描写になっているのである。確かに、自分を捨てた男への、女の執念の復讐劇という内容は、いかにも増村作品なのだが、全く迫力がない。

増村保造大映倒産後はテレビのシリーズを手がけるようになり、その影響だったのだろうか?

亡くなったのは62歳とまだまだ老年には遠い年齢だったのだから、気力が衰えているとは思えない。

そう考えると、やはり増村保造監督の作品群にはムラがあるということなのだろう。これもまた増村作品なのだ。