「NY心霊捜査官」
全く、つまらないグロ映画の典型だった。オープニングのイラクのシーンは、切れのいいテンポのいい映像だったが、続いてニューヨークに舞台が移ってからは、なにが悪いのか、テンポがだるいのである。
要するに、イラクで悪魔に憑依された兵士たちが、ニューヨークに戻って、自分の仲間を増やすために、猟奇的な行動にでるというものだ。
クライマックスは、主人公の娘と妻が、悪魔にとりつかれた男に拉致されたために、その男の悪魔払いをするシーンである。
今更この手のシーンは珍しくないが、ただ、それをグロテスク度アップで見せるだけになる。
当然、ハッピーエンド。全くのB級ホラー映画的なサスペンスでした。監督はスコット・・デリクソン。実話の映画化であるらしい。それを思うとみられるのだが、やはり映画としては出来は悪い。
「ぼんとリンちゃん」
「ももいろそらを」の小林啓一監督第二作め。例によって機関銃のような台詞の応酬を延々と長回しでとらえる。
背後の音楽のリズム感、映像のテンポは前作同様、とにかく楽しい。
オープニングのアニメカットとタイトル、その前のテロップで流す物語の前提の説明など、ちょっとわくわくさせる感覚で引き込むあたり、やっぱりこの監督好きだなぁ。
物語は、東京へ出ていった友達のみゆちゃんが、彼氏のDVに苦しめられ、あげくのはてにデリヘルをして「肉便器チャン」というあだ名になっていると聞き、主人公で、通称ぼんちゃんは、アニメオタク友達のリンちゃんと東京へやってくるというもの。
この二人の会話、アニメショップでの駆け引き、ぼそりとつぶやくぼんちゃんのさばさばしたクール感もまたいいし、中年オタクのべぴちゃんとのからみもいい。
背後に、初音ミクの音楽をふんだんに取り入れ、いかにもありそうなオタク同士の会話のおもしろさを、映像に取り入れていく感性はやっぱり曳かれてしまう。
結局、みゆちゃんをみつけたが、お金のため、楽しみのためにしている、としゃあしゃあと答える彼女に、ぼんちゃんも翻弄され、連れ戻せずに帰ってくる。
ぼんちゃんたちをネット映像で見守る友達の二人の女の子たちもまた楽しい。
いかにもありそうな、言葉の連続と、会話のやりとり、その空気に、自分の知る分野ではないとしても、すっかりはまってしまう映像テンポの作り方のうまさに、楽しんでいる自分に出会う。
せっかく、カラーにして、第二作なのだから、ちょっと、もうワンランクアップした映像表現にチャレンジしてもよかった気がするが、楽しかった。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」
可もなく不可もない、普通のSFスペースオペラだった。誰かがネットで「スター・ウォーズ」以来の傑作なんて書いていたが、「スター・ウォーズ」のすごさを理解していないということである。
映画は単純。幼い頃、宇宙人に連れ去られた主人公ピーターの27年後、彼はとある宇宙で賞金稼ぎのような存在になっていて、そこで、宇宙をも破壊できる石を手に入れることから冒険物語が始まるというもの。
宣伝にでてくる、アライグマの姿のロケットというキャラクターがやたらかわいいが、それだけで、後は普通の物語。
今時CGも目新しいものもないし、映像演出に優れたものもみられない。’70年代の曲を背後に流し、ちょっとレトロなムードを醸し出すが、それも大したことはない。
まぁ、この手の娯楽映画、これで十分といえばそういう一本でした。