くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「猿の惑星 新世紀(ライジング)」「海を感じる時」「セッ

kurawan2014-09-23

猿の惑星 新世紀(ライジング)」
前作で、森に移り住んだシーザーを中心とするエイプたち。あれから10年がたったところから映画が始まる。人類は猿インフルエンザでかなりの人数が死滅し、シーザーたちの森の対岸の、サンフランシスコに住む人々はその電気供給のため、シーザーたちのいる森の奥のダムを再稼働させることを考える。

こうして、再び人間とエイプが接触することになり、当然、それぞれの恐怖心が疑念を生み、怒りを生み、戦いになっていくという展開である。

特に目新しいものはないが、ストレートに物語を楽しむことができるし、シーザーのキャラクターがストーリーを引っ張っていくので、それなりの見所も十分にある。

当初のオリジナルが、あまりの傑作だったために、その差別化とチャレンジ精神が相当のプレッシャーだと思うが、旧作へのオマージュよりも、新しいシリーズとして独立していく意気込みもみられるし、二時間以上ある物語はほとんど退屈することはなかったから、成功だったのだろうと思います。

サンフランシスコの人々の要請で、軍に連絡がつき、当然、軍とシーザーたちの戦いという展開へ流れる直前でエンディング。とはいえ、今にも滅亡という人類が、10年間もエイプの存在を無視していたのが疑問だが、そこは目をつむろう。次が早くみたくなるラストシーン。これはこれで娯楽映画のシリーズとしては成功している気がします。


「海を感じる時」
主人公恵美子と洋が仲良くこちらに歩いてくる。二人は一緒に暮らしていて、恵美子は熊をみたいという。こうして幕を開けるこの作品、非常に繊細な心の動きを描き切れていないのか、あるいは、感じ取れなかったのか、淡々と進む物語に何のテンポも感じられない。

海辺に住む恵美子は高校時代、部室で洋にキスされる。ただ、女の子の体に興味があっただけだという洋に、なぜか体も与えてしまう恵美子。二人の高校時代、そして、一緒に暮らしている現在の二人の姿を交互に描いていく。

二人の間に恋愛とか愛情とかは全く描写されず、ただSEXするだけの関係が殺伐とした展開で写される。ところどころに、学生時代の恵美子を非難する母親の姿も描かれるが、それが作品の中身にどう関わるというものでもない。

平坦な物語の終盤、恵美子は一人で居酒屋で飲んでいて、そこで知り合った中年らしき男と体を重ねる。

時を経ず、そのことを洋に打ち明ける。非難する洋、今は恵美子を愛しているという。そして、家を飛び出す。恵美子は私も洋が前から好きだったとつぶやく。なぜか、これまでの無味乾燥な二人の描写が、俄然、色を帯びる。

そして、恵美子は海辺の実家に戻り、誰もいない家の雨戸を開け、海辺にでて、じっと水平線を見つめて暗転。

洋と恵美子のこれからが見えるようで見えない、どこか、現代の不思議な恋が何気なく見えてくるラストシーン。しかし作品としては、映像になり切れていない弱さが残念。繊細すぎて、伝わりきらないのである。そこがもう一歩の作品だった気がします。


「セックス・チェック 第二の性
製作されたのが1968年、時代を先取りしすぎたのではないかと思えるほどに、斬新なテーマとストーリー展開に度肝を抜かれる。これが増村保造なのかもしれない。

映画は、とある企業の陸上部の練習場、かつて日本を代表するスプリンター宮路が、かつてのライバル峰重に口説かれている。自分の会社の女子陸上のコーチになって、オリンピック選手を育ててほしいというのだ。

こうして幕を開けるこの作品、オープニングはまるでスポコンドラマの如しだが、なんのなんの、宮路が見いだした選手南雲は、記録はすごかったが、セックス・チェックで半陰陽と判定される。つまり両性具有ということである。もちろん、外観は明らかに女性である。宮路は記録を伸ばすために男になれと命じていたが、今度は女らしい女に仕上げるべく、毎晩彼女を抱くのである。

そして、再度の検査の結果女性となったが、そのために記録が落ち、選考大会で落選、宮路は選手ではなく一人の女性南雲を育て上げてエンディング。

強烈すぎるストーリーに最初は、開いた口がふさがらない。当たり前のように親友峰重の妻をレイプし、選手の才能ありとみたら、平気で男として扱う。自分の野心のために、好きなように人間を扱う宮路だが、結局、今まで、一番手に入れていなかった本当の女性を育て上げるというラストに流れる。この極端すぎる演出に圧倒されるのである。。

生理が始まるシーン、執拗に抱くシーン、など、ふつうに考えて想像できる演出ではない。その迫力がすさまじいのである。少し、時代が早すぎた。そんな印象の、ある意味傑作と呼べる一本でした。