くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ラスト・デイズ・オン・マーズ」「オオカミは嘘をつく」

kurawan2014-11-28

「ラスト・デイズ・オン・マーズ」
6ヶ月に及ぶ火星探査チームの任務も後19時間を残すだけになっている。
主人公たちがローバーと呼ばれる電気クルーザーに乗っているシーンから映画が始まる。

荒涼とした大地に、当たり前のように、砂嵐が迫ってくるが、日常的な出来事で、ふつうにいなす。この描写は見事である。

基地に戻った主人公たちは、最後のミーティングをしようとするが、マルコともう一人が、バクテリアの存在を示すサンプルを発見しその採取に独断で出かけ、事故に遭い、命を失うが、なんとバクテリアに犯されて、ゾンビのようになって襲ってくる。

いわゆる典型的なB級SFホラーである。

後は、次々とゾンビにかわるクルーたちとの戦い、そして、最後は一人になり、母船オーロラからの救助を待つが、自らも観戦している可能性があるので、そのときは大気圏突入して果てるという最後の通信をしてエンディング。

B級ながら、丁寧な画面づくりと、ストーリー展開を行ったために、余りに普通に探査チームの姿が描かれ、妙にリアルである。そこに、今更ながらのゾンビという恐怖が襲う。この非現実が、この作品の見応えである。

スプラッターなシーンは、手持ちカメラと細かいカット、薄暗い照明で緊迫感あふれる演出をし、ビジュアルにもこだわったリアリティが、平凡なホラー映画に終わらせない配慮となり、なかなか最後まで見せてくれる。

監督はイギリスのルアイリ・ロビンソンという人である。ちょっと、見応えがあった一本でした。


「オオカミは嘘をつく」
あのタランティーノが絶賛したイスラエル映画、もしかしたら大穴ではないかとかなり期待の一本だったが、それほどまでではなかった。監督はアハロン・ケsyレス&ナヴァット・バプシャド。

映画はスローモーションで、三人の子供が遊んでいる。かくれんぼらしく、一人が廃屋のロッカーのようなところへ、一人が土管の中へ、そして鬼が土管の中の少女を見つけ、ロッカーのところで扉を開けると、真っ赤な靴だけがある。カメラが俯瞰で引いていくと屋根にタイトル。おお!これはやるな。

というオープニングから、暴力刑事ミッキは一人の教師ドロールを容疑者としてあげる。そして、工場跡で暴力による自白を試みるが、その様子の動画をアップされ、ミッキは配置換え、同僚の温厚な刑事に仕事は引き継がれ、容疑者も釈放される。

ところが、しばらくして、森の中で、イスに縛られ、暴行された首無しの少女の死体が発見され、ミッキは独自に捜査を始める。

ここに、少女の父親ギディがドロールを監禁し、ミッキも拉致して、購入した家の地下で拷問を始めるのだ。

ここからはサスペンスよりもスプラッシュホラーの様相を見せるし、このギディが最初からサイコキラーにしか見えない。娘を殺され狂っていく父の姿という心理描写の変化が不足なのだ。さらにこのギディの父まで登場し、バーナーで拷問する下りからは、実はギディたちが真犯人ではないかとさえ思えてくる。

馬に乗って通りかかるアラブ人の男のエピソードは、いったい何か?となる民族描写になっているし、冒頭で暴力刑事として登場しているミッキがどうしようもなく拉致されるのは、前半と後半が分離している。

導入部の、ちょっと秀逸な場面がどんどん、ただのスプラッターになっていくのがちょっと工夫不足。

結局、ギディの作った薬入りのケーキをギディの父が食べてしまい、眠っている間にミッキは脱出。なぜかドロールは放っておいたために、ドロールが、嘘で首の在処を示し、それを堀りに行ったギディが帰ってきて、状況を見て、ドロールの首を切って殺してしまう。

そこへ、ミッキに電話がかかり、妻から、「今日は娘を迎えにいく日なのに、まだ帰っていない」という。あわてて飛び出すミッキだが、一方で同僚の温厚な刑事がミッキの家にいる。本部に「何の問題もない」と報告しでていくとカメラがパンする。

そこには、バレエのチュチュをきて死んでいる少女のカット、エンディング。

確かに、所々に、独特の映像表現を見せる。携帯の着信音が、素っ頓狂な曲だったり、ギディが突然ケーキを作り出すが、その背後に、いかにも陽気な曲が流れたりという、サプライズ演出を見せるのは、ちょっとした感性であるが、どこか一貫性に欠けるのである。キャラクターの描写が曖昧で、統一されていない。

結局、予想する犯人にたどり着いてしまった。

首なしの少女だったのだから、実は被害者は身近な別の少女だったりするというのもあり出会ったきもする。

結構期待していたので、そこは残念。そんな映画だった。