くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「寄生獣」「フュリー」(ブラッド・ピット主演)

kurawan2014-12-01

寄生獣
相当しっかりと作られたゲテモノ映画の佳作。下手をすると、ただのグロテスクなだけのB級映画に成り下がるところを、根本的なところで、押しとどめている。おそらく原作がしっかりしているのと、その本来のテーマをきっちり映画のストーリーに織り込んだ脚本のできばえが良かったのだろう。

映画は、人類の繁栄に危機感を持った不気味な寄生獣が人間の脳に入り込んで、乗っ取っていく話である。主人公泉新一の脳には入りそこね、右腕で成長してしまった寄生獣は自らミギーと名乗り、共存を始める。

一方脳に寄生した寄生獣たちは人間を食べながら日常に潜んでいる。

やがて、母さえも乗っ取られた新一は、悪質な寄生生物に戦いを挑んでいく。

今回の作品が、その導入部分で、エンドクレジットの後に完結編として、後編の予告編が入る。

最初にも書いたが、ストーリーの根底にあるテーマが、じわっとこちらに伝わってくる重さのある作品で、原作を読んでいないが、原作の味がちゃんと伝わってくる気がする。さすがに傑作と呼ばれるコミックだけのことはあると思う。

監督は山崎貴、脚本は、山崎貴と今をときめく古沢良太である。よく完成されている。おもしろい映画だった。

ただ、難をいうと、橋本愛扮する里美の存在感がまだまだ表にでてこない。おそらく、後半で、それぞれの人物が浮き上がってくるのだろう。

グロいゲテモノ娯楽映画かと思っていたが、意外に完成度の高い一本だった。


「フュリー」(ブラッド・ピット主演)
相当見応えのある、戦争ドラマの秀作。二時間以上あるが、全くダレない。時々挿入される絵画的な映像も、戦争の冷酷さを増幅させ、次々と展開する戦闘シーンの迫力は、監督のデビッド・エアーの得意部分だけあって、緊張感抜群。

物語は1945年春、ナチスドイツ奥深くに潜入したアメリカ軍の物語。その中にフュリーという名前のシャーマン戦車に乗る、主人公ドン以下のメンバーの人間ドラマである。

はるかに性能の良いドイツ戦車に全く歯が立たず、とうとう、自分たち一台で、ミッションである、十字路でドイツ軍を阻止するというのがクライマックスになる。

新参のノーマンが最後の最後に生き残ったために、この戦車の悲劇の史実が伝えられることになったのだろう。このクライマックスの銃撃戦は半端なものではない迫力と緊張感がある。

まるで、絵のように空に戦闘機の編隊が飛ぶシーンや、発煙筒を炊いた煙の向こうからの光に浮かぶ戦車のシーンなど、美しいのだが、かえって、孤独感やリアリティを生み出すから不思議である。これが映画の絵作りだろう。

アカデミー賞の貫禄はどうかと思うが、見て絶対損のない一本だったと思います。