どうして、老人を扱った映画でも、こういう粋な映画を外国では作ることができるのかと思います。
シャーリー・マクレーンデビュー60周年というふれこみの映画ですが、とってもいい映画でした。監督はマイケル・ラドフォードです。
しゃれた会話と、粋なストーリー展開の連続、そして、ホロリとさせるラストシーン。本当にいい映画、素敵なラブストーリーでした。
映画は、フェリーニの名作「甘い生活」の、トレヴィの泉で戯れるシーンから始まる。タイトルが終わるとそれを見ている主人公エルサのカットへ。そこへ、隣にやってきたのが妻を亡くしたばかりで傷心のフレッド。ふさぎがちな父を元気づけるために娘が用意したのである。
一方エルサはトレヴィの泉で「甘い生活」のアニタ・エルヴァーグとマルチェロ・マストロヤンニのようなことをするのが夢。
陽気で前向きなエルサは、隣にやってきたフレッドに猛烈に迫り、やがて、こもっていたフレッドも、前向きに進むようになり、いつのまにかエルサと恋に落ちていく。
こういう役をすると、とにかくシャーリー・マクレーンは抜群にうまいし、クリストファー・プラマーも素敵である。
実はエルサは人工透析を受けている身であり、それほど長くない寿命と知ったフレッドは、ローマ行きのチケットをとり、エルサに夢を叶えるのがクライマックス。
フレッドとエルサがトレヴィの泉ではしゃぐ場面が一瞬モノクロになり、次の瞬間、墓地のシーンでエルサの死を描写し、生前金庫に隠しているという、ピカソに書いてもらったというエルサの絵がフレッドに手渡され、いつもいっていることが嘘や夢に彩られていたエルサの本当が映されてエンディング。
ラストのさらっと締めくくる演出が見事で、妙にじめじめしないエンディングに、ほんのりと感動を呼び起こしてくれます。とっても素敵でおしゃれな大人のラブストーリーでした。