「はじまりのうた」
とっても素敵で、おしゃれな映像と、キュートな音楽に乗せていくしゃれた音楽映画の秀作。最高でした。キーラ・ナイトレイの笑顔がチャーミングで、すばらしい。監督はジョン・カーニーです。
映画は、とあるカフェの夜、一人の男がギターで一曲歌うが、傍らの女性グレタに是非歌ってほしいといい、彼女が歌い初めて始まる。
そして、その日の朝に戻り、アル中の音楽レーベルの共同経営者ダンがベッドで起きて、会社へ向かう。途中、娘を迎えに行き、会社へ行くと、解雇を言い渡される。
酒にまみれて自殺も考えたダンは、夜、カフェに立ち寄る。そこは、冒頭のエピソードのカフェ、そこで、グレタの歌に引き込まれ、彼女に接近、ダンのプロデュースでアルバムを出すべく、ニューヨーク中で録音することを提案。
一方、グレタには恋人のデイブがいたが、どんどんスターになるデイブは、次第にグレタから離れ、グレタは消沈。そんなとき一人の旧友に出会い、カフェで歌ったのだ。
前後に時間をつなぎあわせる導入部、グレタのギターと歌に引き込まれ、傍らのピアノやバイオリンなどが自動で演奏し始める画面を見るダンなど、テクニカルだがファンタジックな演出も素敵である。
やがて、ダンの旧友なども交え、街頭で録音を続け、アルバムが完成。ダンのパートナーに聞かせると、是非CDをということで物語はクライマックスに向かう。
夜の町をきれいにとらえる美しい背景と、それをバックに笑うキーラ・ナイトレイがとってもいいし、ありきたりのラブストーリーに流れずに、ダンと元妻との確執も埋まっていき、娘のバイオレットもダンにほだされていく下りをさりげなく、グレタの行動で描いていくあたりのうまさもすばらしいし、キーラ・ナイトレイのファッションも素敵。
ラスト、デイブのライブを袖で見るグレタのカットから、夜の町を自転車で駆け抜けるグレタ、そして、ダンと元妻が二人で一緒に聞けるコードで音楽を聴きながらキスをするシーン、ラストまで手を抜かないきれいな演出に、すっかりはまってしまいました。
いい映画、素敵でチャーミングで、しゃれた映画、こんな出会いがあるから映画ファンはやめられません。