くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「コウノトリの道 心臓を運ぶ鳥 後編」「ジュピター」

kurawan2015-03-31

コウノトリの道 心臓を運ぶ鳥 後編」
先日見た前編に続く後半。前編の最後で、ユダヤ教徒のような男に銃撃されるシーンに始まる。

主人公ジョナサンは、その男に麻酔薬を打ち込まれ、意識がもうろうとする中、真相の一部をかいま見てしまうところから本編へ流れ込むのだが、とにかく、映像がこりにこっている上に、幻覚を何度も見て、真相にたどり着く展開故に、細切れの映像をつなぎあわせて理解していかないといけないのが、かなり難解。

しかも、前半の流れもやや頼りなくなっているために、必死でストーリーを追っていくことになった。

しかし、作り込まれすぎた映像とはいえ、作品としては実にしっかりと作られていて、最後まで緊張感が崩れることはない。

最後の最後、真相が明らかになり、主人公ジョナサンが心臓を、病弱な兄に移植されかかるところで、幻覚の中反撃して脱出するクライマックスは、くどいながらもスリリングだった。

ただ、自己流に解釈すれば、幻覚を見るような催眠術をかけられているジョナサンは、あわやというときは、マックスによる声が聞こえて、危機を脱出する。それ故に、助かるのだが、サラのダイヤモンドのエピソードがやや弱く処理されてしまったのは残念だし、かえって混乱を生むだけになった気もする。

結局、助かったジョナサンはサラとハッピーエンドということだが、つまり、ラブストーリーのエンディングということである。

コウノトリのことはダイヤモンドを運んで巨利を生んでいたということで、強いてはジョナサンの父の相棒が息子に心臓移植するために、ターゲットを探していて、そのターゲットこそ、ジョナサンだったらしく、ジョナサンに関わってくる人物が、なにやら誰かと意味深な連絡を取ることから、結局そういうことかと理解する。

サラがダイヤモンドを手に入れるエピソードはジョナサンの事件とは別物で無関係だが、彼女を追いつめる刑事のような怪しい男は、ただ金がほしかっただけのキャラクターだったのだろう。

隙のない脚本とテクニカルな映像のサスペンス映画で、前後編をまとめてみればわかるのだろうが、よくできているのだが、懲りすぎの感じで、ストーリーをおいづらかったのが残念な一本だった。


「ジュピター」
ウォシャウスキー兄弟からウォシャウスキー姉弟と呼び名も変わって(同じ人ですが性転換?)によるオリジナルSF作品であるが、なんとも、SFセンスのない物語と混沌としたストーリー構成に辟易としてしまう作品だった。

確かに、初3D作品というふれこみで、映像も美しいが、スケボーのように飛び回るケインの映像は、「スパイダーマン」のシリーズで散々にしている構図で、いまさら新しさがない。

ウォシャウスキー姉弟作品となれば、オリジナリティあふれる映像が一つの売りでもあるが、今回、その斬新さが全くない。確かに、CG全盛となった今では、少々のことをしても新しさは見えないのですが。

さらに、ストーリーのディテールが適当なために、矛盾だらけだし、それはさておいても、所々にあるコミカルなシーン、冒頭のジュピターがトイレの掃除を繰り返したり、やたら家族が貧乏臭かったり、王位の継承をするのに役人風の役所がもたついていたりなどが、全く生きていない。

さらに、王位を継承したにも関わらずジュピターにそれほど力が備わらない。人類を作ったエイリアン達の話なのに、なぜか、人類を守ろうとするストーリー展開?ジュピターの利用価値を三人の兄弟が取り合ってたらい回しにする物語がもたついて、混沌としてくる。

冒頭の説明シーンが切れがなくて、面白味に欠ける。

ウォシャウスキー姉弟作品に若干の期待していたが、ここまでSFセンスがなかったかと、がっかりしてしまった。「マトリックス」を生んだ頃が一種の全盛だったのでしょうかね。