くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「チャイルド44 森に消えた子供たち」「ラブ&ピース」

kurawan2015-07-03

「チャイルド44 森に消えた子供たち」
このミステリーがすごい、海外編で一位になった原作を元にしたサスペンスミステリーだが、いかんせん、重いし、シリアスがシリアスを生んで、二時間あまりがものすごく長く感じる映画でした。監督はダニエル・エスピノーサである。

映画は1933年ソ連ウクライナ。飢餓に苦しむ人々の中には孤児が大勢生まれる。その中の一人の少年は、巧みに孤児院を抜け出し、ソ連兵にかくまわれ、レオと名前をもらう。

そして時は1945年ベルリン、ドイツを破ったソ連軍の英雄になったレオは、見る見る出世、時は共産主義を盤石にするために奔走する1953年のモスクワに移る。

ここまでを一気に描いていくが、共産主義という楽園に殺人はなく、理想国家であることを徹底しようとするスターリン政権は、次々と起こっている少年の殺人事件を、政治犯によるものとねつ造し、隠蔽を繰り返していた。

その不正に気がついた主人公レオは、様々な妨害の中、その真相を突き止めようと犯人探しを始めるが、妻のライーサにまで権力が忍び寄り、さらに、軍隊時代にレオをよかれと思っていなかったワシーリーも彼に迫る。

妻を守るために信念を貫いたレオは左遷され、そこでの上官ネステロフ将軍と、真犯人を追跡、ついに、その犯人をつき止める。そして、森に追いつめたレオは犯人を捕まえるが、隠蔽に追いかけてきたワシーリーによって殺される。そして身を守るためにワシーリーをも殺す。

やがて、体制が変わり、レオは再び中央に返り咲き、殺人専門の部署を親切提案し、そこに着任して映画が終わる。

とにかく、犯人は、ドイツの敗戦の報復として、ソ連に送り込まれた殺人鬼であるという設定、さらに理想を守ろうとするソ連の強硬姿勢が、とにかく重々しく、ミステリーの謎解きよりそちらにウェイトが強くて、全体が重くなった感じである。

もう少し、削るべきは削って、謎解きの展開にスピードを加えればもっとおもしろい映画になったかもしれないと思う。とにかく長かった。


「ラブ&ピース」
先日の三池崇史といい、園子温監督もどうなっているんだという感じの映画だった。やりたい放題で、どこまでいくのというか荒唐無稽映画である。

映画が始まると、テレビのトーク番組。主人公の鈴木良一が何故か批判されている。いきなりの非現実ワールド。会社に行っても、邪魔者扱い。かつてロック歌手だったが、その夢も壊れ、しがない楽器のパーツ屋努めである。会社には想いを寄せる裕子がいるが、言葉もかけられない。そんな鈴木が、ある日屋上で、ミドリガメを買う。そして可愛がるが、会社に持っていったのを見つかり、慌ててトイレに流してしまう。その流れた亀は下水を通って、妙なおじいさんがガラクタと一緒に暮らす一角へ。そこではガラクタが会話をしていて、かつてかわいがってもらっていて捨てられたのだという。

一方、亀が主人のために夢をかなえるべく大きくなり、それが鈴木に運をもたらし、ロック歌手として成功への道をたどり始める。だんだん荒唐無稽な展開になっていくのだが、成功する鈴木はどんどん、横柄になっていき、一方、ガラクタたちはクリスマスの日に特殊な飴玉をもらい新品になって、クリスマスプレゼントとして配られる。

さらに亀は怪獣になって、鈴木のコンサート会場へ。そこで、かつて、かわいがってもらった時、鈴木に声をかけてもらった言葉を伝え、鈴木は、我に返り、再び、元の素朴な青年になる。一時、その横柄さに不安になってきた裕子も帰ってきてエンディング。

って、どういうこと?亀の名前がピカドンだったり、捨てられたゴミが会話していたり、いろいろ、面倒なメッセージが見え隠れする前半部はちょっといただけない。全体にパンチの足りない作品で、西田敏行のサンタのエピソードはさすがに甘ったるい。狙うところは、愛と平和という園子温の言わんとするのが、やや迫力に描いた作品だった。一体どうしたんでしょうかという感じである。