くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「やっちゃ場の女」

kurawan2015-07-17

古き良き日本の風情がにじみ出てくるような人情ドラマでした。監督は木村恵吾。

東京築地の仲買人の店を舞台に、恋と親子の物語が、今となっては古くさいほどの展開で描かれていく。しかし、この懐かしい空気がなんとも癒されるのである。

映画自体はそれほどの出来映えではない。しかし、一つ一つのシーンがノスタルジックなのだ。

両国の花火、路地でのキャッチボール、ボクシングのまねばかりする少年、狭いとおりの両方から垂れ下がる提灯や七夕の笹飾り、彼方に見える両国橋の風情、物干し台、扇風機、団扇、縁台に寝ころぶ男、今となってはほとんど廃れてしまったこの日本の原風景が満載。

母と二人で店を切り盛りするゆき子、ベテランで気っぷの良い使用人に支えられて毎日を切り盛りしているが、突然母が死ぬ。一人になったゆき子は、かつて女を作りでていった父にもとを訪ね、わがままな妹をいさめ、育ち盛りの弟と家を切り盛りしていく。

物語はたわいのない毎日である。恋、結婚、親との確執などが絡み合いながら、ひたすら気丈に生きていくゆき子のストーリーの一部を切り取り、懐かしいドラマが展開して幕を閉じる。

本当にたわいのない映画である。でも、懐かしい。でも落ち着く。こういう日本映画は大切にしないといけないなと心から思ってしまいます。