「パリ横断」
「ゴーモン 珠玉の映画史」特集で見ました。流石に古さを感じさせる映画ですが、それでも、光と影を巧みに使った演出は惹かれるものがあります。監督はクロード・オータン・ララ。
時は第二次大戦下のフランス。闇市で裁くために一匹の豚がさばかれようとしている。肉に分けられたものの、量が多くて一人で運べない。ここに一人の男マルタンがバーのやってきた。彼が運び屋なのだがバーで知り合ったグランジルを仲間に誘い込む。
物語の前半は、この二人の掛け合いで夜の街を闇市の仲買人のところまでの物語になる。光と影を使った濃淡の画面が美しい。コミカルな展開の末に仲買人のところに来たが出てこないので、大声で呼んでいるとドイツのパトロールに捕まる。この時のシルエットを使った演出が実に奇抜で美しい。
二人はドイツ軍の所へ連れていかれる。グランジルは有名な画家だったので、ドイツの将校が彼を丁重に扱うが、折しも
ドイツの大佐が殺される事件の知らせが入り、逮捕されていた何人かとトラックに載せられる。しかしグランジルだけ助けられて、グランジルとマルタンは別れ別れに。
やがて第二次大戦が終わる。グランジルはカンヌへ行くため汽車に乗る。その時荷物を運ぶポーターを雇うが、なんとそのポーターはマルタンだった。懐かしい再会の後、グランジルはカンヌへ旅立っていって映画は終わる。
コミカルな展開と一気に緊張感が走るクライマックス、そして感動のラストと、わかりやすい物語構成はなかなか見事なものである。しかも、くっきりと光と影を使った美しい映像演出も見応えのありました。
「ジョン・デロリアン」
結構面白かった。実話とは言え適度な人間ドラマもサスペンスもあった感じです。まあ、それ以上ではなかったけどラストまで飽きませんでした。監督はニック・ハム。
一人の男ジムがこれから法廷に向かおうとしている。後ろからFBIの捜査官が助言をしている。そして法廷に入り、物語は少し過去に戻る。映画はこの法廷シーンと、ここに至る物語が描かれていく。
パイロットのジムは、ある時着陸した途端にFBIに捕まる。翼の中に大量のコカインが隠されていた。ジムは、麻薬組織のモーガン逮捕のため情報提供するという司法取引を持ちかけられ受け入れる。
ジムは新しい家を与えられるが、なんと隣にはポンティアックGTOを設計したジョン・デロリアンが住んでいた。車を介して親しくなったジムはデロリアンから、新しい車のコンセプトなどの夢を聞かされる。しかし、デロリアンは、新しい会社の運営で資金に行き詰まっていた。
そんな時、デロリアンから、巨額の資金を調達したいと相談される。ジムはモーガンの組織と絡ませ、両者を逮捕する計画を考える。しかしデロリアンはジムを友達として信じていたため、ジムは最後まで迷う。
しかし、計画はうまく運びモーガンは逮捕、デロリアンも取引の現場で逮捕され冒頭の裁判の場面となる。証人となっているジムへの質問が続く。争点はデロリアンが麻薬取引を明確にジムに依頼したかということだった。そして最後の最後、ジムは、それは微妙だと証言、デロリアンは無罪となる。
レストランでジムのところにデロリアンがやってくる。そしてデロリアンの新車のキーと大金をプレゼントする。ジムが新車デロリアンにキーをさすが、エンジンがかからず映画は終わる。ラストのユーモアは想像がついたとは言え面白かった。
もうちょっと、FBIとジム、デロリアンの絡みがスリリングだったらもっと面白かった気がします。