若尾文子のスクリーンデビュー作品である。本来久我美子の予定が、急病で交代したものです。監督は小石栄一という人ですが、助監督に増村保造が名を連ねている。
映画は敗戦直後の中国大陸で、取り残された日本人の女子供が、日本へ脱出するべく、新京を目指すというもので、とにかく苦労物語である。
製作当時の1952年なら、おそらく、こういう苦難を生きた人々が、思い起こして、感慨に耽ったことであろう。
若尾文子は脇役であるが、物語を牽引していく存在としてストーリーを引っ張るので、自然と目立つ。しかも、登場する役者の中で明らかに若いので、そのみずみずしさが、映画をすっきり見せていく。
単純なロードムービーて、これという秀でたものはないが、これもまた、戦後の日本映画の一つの形だろうと思います。