くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ギヴァー 記憶を注ぐ者」「映画 みんな!エスパーだよ!」

kurawan2015-09-10

「ギヴァー 記憶を注ぐ者」
記憶も感情も統制された近未来を舞台に、人間が人間らしさを取り戻すべく変わって行く姿を描いたロイス・ローリー原作のSF小説の映画化作品。監督はフィリップ・ノイスである。

モノクロームの画面で始まる。世界が荒廃し、人々は全てを平等にという名のもとにあらゆるものを統制し理想郷のようなコミュニティに暮らしている。青年に育った主人公ジョナスたちは障害の仕事を決めるべく儀式に臨むが、なんとジョナスは、人類の記憶を受け継ぐレシーヴァーとなることになる。そしてコミュニティの端に位置する建物で、記憶を注ぐものギヴァーから訓練を受け始めるが、次々と目の当たりにする人間の本来の姿に驚愕する。

丁寧な映像と、シュールな展開を独特のリズムで作り出すフィリップ・ノイスの演出は、実に正当なハーSFの世界を構築していきます。面白みがないというわけではなく、ジョナスが本来の世界を垣間見るにつけてカラー映像に変わり、その繰り返しが、とって美しいのです。

このコミュニティを統制するのがメリル・ストリープ扮する女性で、何もかも知っての上でのジョナスの選択であるかのようなセリフと、ギヴァーとのやり取りに、何か奥の深いものが見え隠れするのですが、この辺りの味付けがやや弱く ジョナスが記憶の解放をするというアクション部分が全面に打ち出された形になっているのはちょっとものたりません。

もう少し、考えさせられる思考的な展開がうまく表現できれば良質の一本になった気がしますが、と言って駄作ではなく、面白かったです。


「映画 みんな!エスパーだよ!
園子温監督作品でなかったら見ないだろう一本である。一体、どういう考えで園子温監督はこれほど次々と映画を繰り出しているのかと思う。正直いって、節度がないとさえ思えてしまいます。

今回はコミックの映画化、しかも全編、裸のシーンというか、セミヌードシーンばかりのエロ映画に近い。しかも演出がしつこいので90分ほどの内容なのに、いやそれ以下かもしれないのに、二時間引っ張るという感じである。

映画は、ある夜、宇宙からの光線で、突然超能力を手にした人々の物語。舞台を豊橋市に置くというローカルな設定がいかにもしょぼいのだが、それを逆手に取るほどの面白い演出も施されていない。

やたらHなことしか考えていない主人公とその周辺の人々、学校では、女子高生はみんなミニスカートでパンチラだらけで、女先生もセクシーさ爆発。

なぜか、人類を滅ぼすためにセクシーさとエロで覆ってしまおうという悪者の陰謀に、とにかく何があるでもないエスパーたちが立ち向かうが、ストーリーの脆弱さで、なんの面白さもなく、ただ、下着シーン、パンチラシーンのオンパレード。

結局、主人公の運命の人に出会うというロマンはそっちのけで、アレヨアレヨと園子温の暴走で映画は終わる。

先日の「リアル鬼ごっこ」といい、園子温はどうかしてるなと思ってしまいます。