くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「新幹線大爆破」「PAN ネバーランド、夢の始まり

kurawan2015-11-08

新幹線大爆破
30年ぶりに見直したが、こんなに面白い映画だったか、こんな傑作だったか、改めて驚愕してしまった。散りばめられた伏線、二転三転する見せ場の連続、全編途切れる隙間もない緊張感、そして、人間ドラマとしてもしっかりと描かれているのがすごい。若干の粗が見られないわけではないが、そんなものは隠れてしまうほどに引き込まれる。監督は全盛期の佐藤純彌である。

北海道夕張で、犯人の一人古賀が、貨物列車に爆弾を仕掛ける場面から映画が始まり、そのまま、東京の舞台へ。そして主犯沖田の高倉健が、新幹線に爆弾を仕掛けたと電話連絡してタイトル。とにかくストーリー展開がものすごくスピーディで、まず中心の物語に引き込んでから、フラッシュバックで、犯人の過去のドラマを挿入していく。

斜に構えたカメラの不安定さが、ストーリーをさらに緊迫感に包み、いきなり飛び込むタイムリミットまでのサスペンスフルな展開をさらに盛り上げる。

新幹線のスピード感、国鉄側、刑事側のクローズアップによる迫真のドラマ、さらに、一つ解決したらまた次のピンチへと畳み掛けていくストーリー構成のうまさにも唸ってしまうのだ。

上り線を通過させる冒頭のサスペンス、高速カメラによる撮影、列車内の喧騒、そして、究極は、金の受け渡し後、図面を預けた喫茶店が火事で焼失するというアクシデントによる、これでもかというサスペンスの設定だ。

そして、犯人が逃げるのピカレスクな展開も素晴らしい。

次々と後手に回る警察を煙に巻き、最後、あわや飛行機搭乗、逃亡成功かと思いきやの離婚した妻による目視から、最後撃ち殺される場面まで、息をもつかせないというのはこのことです。ここまで面白いし完成度が高いと、この後、映画をみる気になりません。本当に、傑作ですね。


「PAN ネバーランド、夢の始まり」
あまり期待していなかったのですが、結構面白かった。天地左右縦横無尽に変化するカメラワークが絶妙で、目が回るような陶酔感が伴うが、平凡なCGシーンの見せ場にしてしまわない演出が秀逸。監督はジョー・ライトである。

物語は、ピーターパンの物語の前日譚のような設定で、のちの敵や味方が逆の存在で登場する。そもそも、ピーターパンの話はあまり好きではないので、最初入り込めなかったが、空飛ぶ船のシーンが、心地よいほど面白くて、見入っているうちにすっかり引き込まれた。

ネバーランドティンカーベル、キャプテンフック、タイガーリリーなど、のちのメインキャラクターが惜しげもなく出てくるが、本来の話は別に、この作品のオリジナルとして活躍。

クライマックス、ティンカーベルのいる妖精の国に攻め込んだ黒ひげ海賊とパンたちのバトル戦は、若干、3D映像を意識した構図が多々出てくるとはいえ、スピーディに、面白く演出されている。

普通にハッピーエンドなので、ストーリーに工夫はないが、平凡な3D映画に止めなかった面白さは評価できると思います。楽しかった。