くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「大コメ騒動」「ヒッチャー」(ニューマスター版)

「大コメ騒動」

よくもまあこんな適当な映画公開したなという仕上がりの一本。登場人物が誰一人として生き生きしてこないし、演出に力も入ってない。脚本も大体の仕上がりでテレビレベル程度の映画だった。井上真央久しぶりだったので見に行ったががっかりでした。監督は本木克英。

 

大正7年ごろの富山、漁村の女たちは男たちが出稼ぎでいない間、米倉から浜まで俵を担ぐ仕事をして日々の米を買うギリギリの生活をしていた。しかし、日本のシベリア出兵などが本格化し、みるみる米の値段が上がり、女たちの稼ぎで手に入らなくなってくる。行き詰まった村の女=おかかたちは長老の婆さんおばばに率いられて、浜の積出船を阻止したり米屋に押しかけて直談判などをする。この展開も適当。

 

しかし、どれも今ひとつ成果に結びつかない。大阪からこの出来事を取材に若い記者が正義感に燃えてやって来るが、結局帰ってしまう。このキャラクターの立ち位置の意味が不明。さらに、米屋らはリーダーであるおばばを逮捕して棋戦をそごうとする。おばばは

留置所で断食をし、仕方なく釈放される。衰弱して寝込んだおばばに代わって、いとがリーダーとなって積出船阻止に向かう。

 

一旦はバラバラになったおかかたちがおばばの枕のそばで一つになっていくのだが、全然盛り上がりに欠ける。なんなんだこの適当さはと言わんばかりのクライマックスに呆れる。そして浜に大勢集まったおかかたちが一斉に船に突進、米を奪い返す。米を洗ういとの前に出稼ぎに行っていた夫が帰ってきて映画は終わる。まあ、ほんまに適当な映画だった。

 

ヒッチャー」(ニューマスター版)

カリスマ的な人気のあるサスペンスホラーがリバイバルされたので見にいく。なるほどこれは面白い。一級品という出来栄えではなくてB級映画の傑作という部類に入る仕上がりの映画だった。しかも、深読みすると、実はそういう解釈も可能かと考えるともう一回見たくなる。そんな映画でした。監督はロバート・ハーモン。

 

夜明け前の薄暗がりでカリフォルニアへ向かうハイウェイを走る主人公ジムは、さすがに運転に疲れが出て居眠りしてしまったりする。そこへ雨が降ってきてますます疲労困憊となってきた。そんな彼の前に一人のヒッチハイカーが現れる。ジムは目覚ましのためもあり、その男を車に乗せる。彼の名前はジョン・ライダーと言った。

 

なんとなく不気味だったが、話し相手になるジム。道端で立ち往生しているらしい車を見つけたので止まろうとすると、いきなりジョンが膝を押さえアクセルを踏ませ通りすぎさせる。身の危険を感じたジムはジョンに降りるようにいうが、ジョンはナイフを突きつけそのまま走れと命令してきた。ジムは一旦いいなりになるが、隙を見てジョンを車の外に放り出す。

 

ジムはうまく行ったことで喜びながら走っていると、目の前に家族連れの車が来る。リアウインドウから子供がふざけてくるので相手をしていると、突然ジョンが顔を出す。ジムはその家族に、危険を知らせようとするが上手くいかない。そして少し行ったところでその家族の車が止まっているのを発見し覗くと、中で殺されていた。

 

ジムは慌てて車を出しガソリンスタンドへ行く。そこで電話をかけようとするが繋がらず、そこへジョンがやってくる。そして車のキーを投げて去る。ジムは慌てて車に戻り、ドライブインへやってくる。開店前の店に入り電話で警察を呼ぶ。女店員のナッシュが、朝食を出してくれるが、なんとそこには人間の指が入っていた。慌てて飛び出そうとするが、警察がやってくる。裏から逃げるジム。

 

物語はここから、執拗に追ってくるジョンから必死で逃れるジムの姿、さらにポケットの中にジョンの血だらけのナイフがあったりし、殺人犯の疑いをかけられて警察から追われる逃亡者としてのジムという三つ巴の展開となっていく。一旦は警察に逮捕され留置所に入ったジムだが、疲れて眠ってしまい目が覚めると留置所の鉄格子が開いている。ゆっくり出てみると、なんと警察署員は殺されていた。外に出ると、新たな警官がやってくる。警官殺しの容疑までかかったジムは必死でジョンから逃れながらも身の潔白を証明しようとする。

 

そして、長距離バスになんとか乗り込んだが、なんとそこにはナッシュが乗っていた。ジムはナッシュに身の潔白を告白するがバスはパトカーに止められジムは逮捕されそうになる。ところがナッシュが彼を助ける。ジムはナッシュと一緒に逃亡し、ドライブインの部屋に入る。ところがジムがシャワーを浴びている隙に部屋にジョンが入り込みナッシュを拉致する。ジョンは一体どいやって知ったのか不思議である。そこへ駆けつけたのが、以前逮捕された時に身の潔白を無線で話したエスターリッジ警部だった。なんとナッシュはトレーラーに繋がれ、彼女の体を引きちぎらんとジョンが運転席にいたのだ。ジムは助手席に乗り込みジョンを説得しようとするが、ジョンは車を動かし、ナッシュは死んでしまう。

 

警察署で取り調べを受けるジョンだが名前も何もわからないまま、護送車に乗せられる。ジムはエスターリッジの車に乗り別方向へ向かう。しかし、ジョンが脱走することが分かっているジムはエスターリッジを脅して車を奪い護送車を追う。案の定ジョンはショットガンを奪い護送車から出るところだった。ジムは最後の戦いのためジョンと対峙する。そしてジョンを車で跳ね飛ばす。動かなくなったジョンを尻目に車に向かうジムの後ろに立ち上がるジョン。ジムはショットガンでジョンを撃ち殺す。夕陽の中、ジムは車のそばに佇み映画は終わっていく。

 

十分に一回の見せ場というキャッチフレーズだけあって、飽きさせることがないが、ジョンが突然現れるのは、よく考えるとちょっと不自然である。深読みすれば、実はジョンはジムが作り出した妄想の人物で、ジムこそが実は殺人鬼なのではないかという解釈もあり得る。素直に見るかひねくれて見るか、その面白さがこの作品の魅力なのだろう。