くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「抱かれた花嫁」「緋牡丹博徒 お命戴きます」「風の武士」

kurawan2016-10-17

「抱かれた花嫁」
古き良き娯楽映画の一本で、松竹グランドスコープと呼ばれるワイドスクリーン第一回作品という有名な一本でもある。なんのことはない本当に気楽な映画で、老舗の寿司屋を舞台に展開するコミカルな恋物語。監督は番匠義彰である。

老舗の寿司屋の看板娘和子が母親のふさと寺参りをしている。実はふさの仕掛けた見合いの場であって、帰り道に和子にあてがいたい青年と出会う。しかし和子には決めた恋人がいて、物語はよくあるものの、陽気な展開に進む。

当然ラストは誰も彼もハッピーエンドです。

気楽な映画とはいえ、さすがにこの時代の作品は映画としてしっかりできているから見ていて安心してられるし、役者が役者としてどんと存在感を見せるし、セリフの切り返し、カメラの撮り方などに、安定感があるのは今とは比べ物になりません。

たわいのない物語でも、楽しめるという作品ですね。本当に映画は娯楽の王様だったと納得してしまいます。


「緋牡丹牡丹博徒 お命戴きます」
さすがに7作目になるとストーリーはかなりしんどい。というより公害問題というのはこの手のヤクザ映画には一番似合わないと思うがこれも製作された1971年度の世相であろう。でも藤純子は本当に美しい。それだけでも惚れ惚れしてしまう。監督は加藤泰である。

軍の工場が出す廃液で農地が荒れて苦しむ農民をかばう地元ヤクザが、悪者工場長や軍の監視官などと結託したヤクザとにかく争い、結局、殺されてしまう。そこへ居合わせた緋牡丹のお竜さんが正義の刃を振るうという典型的な勧善懲悪映画。

とはいっても、やはり彼女の立ち回りシーンは華麗で、髪をふりみだす彼女はとにかく美しい。それだけでこの映画、このシリーズを見た充実感に浸ることができる。まさにこれがスター女優である。目の保養という一本、これもまた映画の見方の一つだと思います。


「風の武士」
シンプルな娯楽時代劇で、かつてはこの手の時代劇をよく見たなという感じの一本でした。物語より、アレヨアレヨと展開する話が、結局なんなのかという行き着き先が適当で、ただ、2枚目の主人公と美形の女優さんの共演で見せる作品ですね。監督は加藤泰です。

なにやら剣術の強い主人公は、実は忍びの血筋で、紀州の山深い村に姫を迎えるべく画策する忍び集団と紀州藩とのいざこざに巻き揉まれて行くが、結局姫との恋物語となる。
最後は悲恋の別れが待ち受けているという物語。

忍術合戦あり、チャンバラありという典型的な展開ながら、加藤泰監督独特のローアングルとクローズアップが繰り返され、そのリズムにいつの間にか慣れてくると、ちょっと退屈になってくる。こうなると、やはり黒澤明の時代劇は別格だったなと納得してしまうのです。

まぁ、昔の映画というのはやはりスターは映画俳優であって、その存在感を楽しむものなのですね。その意味では面白かった。