くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ラ・ラ・ランド」

kurawan2017-02-24

ラ・ラ・ランド
映画の仕掛けを最大限に使い切った傑作ラブストーリー。ミュージカルの楽しさと生きることって素晴らしさの人生賛歌がコラボレートして、ファンタジーに仕上がったという感じです。監督はデイミアン・チャゼル

ハイウエイ、渋滞で並ぶ車の列、イライラするドライバーたちが踊り始めるところから映画が始まる。中に一人、これからオーディションに行く女優志望のミアとジャズピアニストのセバスチャンが出会う。こうして映画は幕を開ける。ミュージカルらしいオープニングで引き込まれる。

ミアは撮影スタジオのカフェでアルバイトをしながら、女優を目指してオーディションを受けるがことごとく落ちている。一方セバスチャンは働いているジャズバーでピアノを弾いているが、オーナーの要望通り引くことを強要されている。

ある日、ミアがオーディションに落ち、友達と夜の街で騒いだ後、一人通りを歩いていると聞こえて来るピアノの調べ。その調べに惹かれるように一軒のジャズバーに入り、そこでセバスチャンと再会するが、彼は勝手な曲を弾いたとオーナーからクビを言い渡される。ミアが声をかけようとするが、すれ違うだけのセバスチャンとそのまま別れる。

それから少しして、あるパーティでミアとセバスチャンは再会、お互い偶然の出会いが繰り返されることに運命を感じやがて恋に落ちる。

冬に始まり、春、夏、秋と物語は進み、展開するそれぞれの物語が描かれていく。そして、最後の最後、一人芝居を行なったミアはその失敗からセバスチャンとも別れ、一人実家に戻る。しかし、セバスチャンの元にミアの演技に興味を持った一人のプロデューサーが声をかけ、一気にミアは女優の道を歩み始める。そして五年後。

ミアは大女優となりスタジオを出入り、自宅に帰ると優しい夫と子供がいる。しかし夫はセバスチャンではない。ある夜、ミアと夫が夜の街にでかけ、ふと目に止まったジャズバーに入ると、なんとそこのオーナーはセバスチャンだった。舞台と客席で見つめ合う二人、そして、セバスチャンとミアの出会いから何もかもが二人のための展開に変わるシーンが描かれていく。しかし現実は二人はそれぞれに別々に成功していた。店を出るミアに複雑な微笑みを送るセバスチャンの表情でエンディング。もう涙が止まらない。

楽しいミュージカルという先入観で見ていたので、中盤のドラマ部分はちょっとしんどいという印象を受けたが、クライマックスの処理は絶品。前半のカメラワークや映像の鮮やかさがやたらファンタジックなのに、中盤から後半がやや抑え気味になり、クライマックスの艶やかさで締めくくる。

舞台ならかなりの出来栄えになっている気がしますが、映像として処理するときの工夫がもう少しあれば良かった気がします。